自分らしく
〈洋楽ポップス回顧録〉(19)Jet

『Band on the Run』から続く流れが秀逸
『Jet』は、1970年、Beatlesを解散した後にPaul McCartneyが結成したPaul McCartney & Wingsによる楽曲です。1973年に発表されたアルバム『Band on the Run』に収録されています。
このアルバムを最初に聴いたとき衝撃だったのは、『Band on the Run』と『Jet』と続く流れです。「なんと豪華で迫力のあるスタート」とぶっ飛ぶ構成でした。当時はハードロックが人気を集め始めた時代でした。Paulはそうした時代背景をふまえ、力強いブラスセクションとシンクロする歪んだギターをサウンドの中心に添えています。
しかし、アルバムは発売から2週間以上たっても売り上げが伸び悩んでいました。そこでレコード会社はシングル・カットをまったく考えていなかったPaulを説得し、『Jet』をシングルとして発売したのです。すると、アルバム発売から4ヶ月あまりたった4月13日、ビルボード誌で第1位を獲得。加えてライブの定番にもなるほどの人気曲になりました。
『Jet』の由来はどこから…?
Wingsのライブでも定番曲にもなった『Jet』は、Paul/Linda夫妻が飼っていた黒いポニーの名前で、この曲のタイトルにもなっています。そんなことから愛犬ポニーのことを唄った曲かと思いきや、実は義父(Lindaの父親)のことが歌われています。「結婚して間もないころ、お義父さんがちょっと厄介だったんだよ」という詩があるように、Lindaの父はアーティストを専門に扱う弁士で、きっと厳しい父親だったのではないでしょうか。
『Band on the Run』に収録されたほとんどの曲は、1973年9月にナイジェリアのラゴスでほぼ完成させていました。しかし、『Jet』はロンドンに戻ってから大部分を録音して完成させています。これは録音中にテープの磁気体が剥がれるというトラブルのためにとられた対策で、シンバルの音が少々弱くなっているようです。
サポーター

- 紙媒体・Webサイトの編集者・ライター。ひたすらロックとヨーロッパサッカーを趣味として湘南で暮らす。じじいバンドでは、ドラムを担当。
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