乳がん生活:乳がんについて:基礎知識

〈乳がん〉と診断されたら

〈乳がん〉は婦人科? 違います

乳がん検診で疑いがあると言われたり、あるいはセルフチェックで自分の胸にしこりを見つけたりしたとき、不安や戸惑いを感じるのは普通のことです。私も頭が真っ白になりました。

そもそも、〈乳がん〉が何科なのかも知りませんでした。「婦人科なのかな?」と思ったくらいです。答えは、乳腺科か外科です。

まずは、慌てずに信頼できる病院を見つけましょう。「乳腺科」でなくとも、ある程度の規模の病院には乳がん専門の医師がいるはずなので、調べてみてください。日本乳癌学会認定の乳腺専門医がいる医療機関は、学会のホームページにも掲載されています(※)。私の場合、すでにかかっている大学病院がありましたので、そちらで診てもらいましたが、乳腺科はなく外科の先生が主治医になりました。

「どの病院がいいのか」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。長いお付き合いとなりますので、通院のしやすさなどを考えて決めるといいのではないでしょうか。〈乳がん〉は発症してから5年あるいは10年観察することになっています。

※日本乳癌学会 専門医、認定・関連施設一覧
http://jbcs.gr.jp/forcitizen/

治療を決める前に自分の病気のことを知ろう

精密検査では、「マンモグラフィー」と「超音波」の両方を行います。必要に応じて、CTや細胞診・針生検を行うこともあります。

私は、ここに挙げた検査はすべて行いました。針生検は大きな注射のようなもので、患部の一部を切り取り、細胞や組織を観察して病理診断してもらうものです。主治医の先生が治療方針を決めていくために、これらの検査をしていきます。治療方針決定に必要な情報は、がんの「進行度」と「性質」に関するものに2分されます。

 

がんの「進行度」に関するものがんの「性質」に関するもの
「治療の流れ」「手術方法」の決定に必要「薬物療法の採用」「薬の選択」の決定に必要
しこりの大きさがんの悪性度
がんの広がり(リンパ節への転移)ホルモン受容体の有無
他臓器への転移の有無HER2の状況
病巣の数、位増殖指標(Ki167など)

 

※参照『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/

治療方針が決まったら、先生に質問

検査の結果が出たら、主治医の先生から「あなたの乳がんのタイプはこれ、治療方針はこの予定」と聞くことになります。頭は真っ白になりますが、その場ではよく理解できないまま「分かりました」と受け入れないようにしましょう。詳しいことは、後日、確認することにして、そのために質問リストを用意することが大切なのです。

たとえば、次のような項目です。
●なぜ、そのような治療方針になったのか?
●副作用はどうなのか?
●仕事は続けられるのか?
●たいへんな期間はどれくらいあるのか?
●その治療を受けないとどうなるか?

私は脱毛がとにかく嫌だったので、かなりしつこく「抗がん剤やらないと、どうなるか?」「この強いと言われる抗がん剤でないと、ダメなのか?」「他の代替プランはないのか?」と食い下がりましたが、最後は先生の治療方針に納得できたので、計画どおりに治療しました。最終的にどのような判断にしろ、自分が納得するかどうかが大事だと思います。

サポーター

緒方佳美
緒方佳美
外資系企業数社を経て退社。
その後、乳がん発症。トリプルネガティブと診断され、術前抗がん剤治療、部分摘出手術、放射線治療を経験。家族にもがん体験者あり。治療中から、がんと仕事の両立支援や、がん体験者のための支援活動を考える。乳がん体験者コーディネーター(BEC)認定。
2018年10月、株式会社オフィスオガタ設立(人材紹介・コンサルティング業)。
多様性を認める社会形成への貢献を意識し、東北支援活動、地元の景観まちづくりの会での活動を通じて地域とのつながりも大事にしている。

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