乳がん生活:患者力:患者力アップのヒント

〈乳がん〉告知を受けて、 頭をよぎった「脱毛」のこと

〈乳がん〉の告知を受けたとき、パッと頭を過ったことは「脱毛」でした。坊主の経験もないですし、当時の私は肩甲骨の下あたりまでのロングヘアでしたから、「これがなくなるのか」とショックでした。そして、TVでも見たことのある髪の毛がバサッと抜け落ちるシーンを体感するのかと思うと、ゾッとしたのを覚えています。実際は想像と異なる点もありましたので、私の体験記のご紹介です。

ウィッグの購入時期

抗がん剤が始まると、1週間ほどで脱毛が始まる人が多いと言われています。私自身も、1回目の抗がん剤治療後1週間ほどで脱毛は始まりました。抗がん剤の治療前にウィッグを用意しておいた方が良いと言われましたが、「でも、まだ脱毛していないのに…」と買うことに少し抵抗がありました。結局、私は〈乳がん〉告知から抗がん剤開始まで日にちがなかったので、購入をしたのは1回目の抗がん剤治療後の脱毛が始まって間もなくしたときでした。

脱毛の前に髪の毛を切る

病気が発覚したときはロングヘアでしたが、「脱毛した際に長いと、抜け毛の見た目に驚くな」と思い、ショートヘアにしました。しかしショートヘアにしても、お風呂に入った際の排水溝に髪の毛が溜まるのを見たとき、髪の毛を拭いた後のバスタオルについた毛量を見たときは想像以上に辛かったです。

また、自分では気がつかない間に髪の毛が抜けているので、外出時に後ろから洋服についた髪の毛を家族が取ってくれることが増えました。そんなとき、主人から「バリカンで先に坊主にしちゃったら?」とまさかの提案。あまりにもサラッというので「そうだね」と迷わず決めました。

ウィッグの髪型は変えられる

最近ではさまざまな種類のウィッグが発売されていますが、全体的にみると「ショート~ボブ」が多い傾向があります。地毛が長い方は急にショートになるのに抵抗があるかもしれません。徐々に慣れるためにも事前に地毛をカットしておくのはオススメです。

ウィッグ専門店のサイトなどを見てみると、デザイン、カラーのバリエーションが豊富でとても悩みました。1個目はサイズや付け心地を確認したかったので店舗に行って購入をしましたが、とってもおしゃれな店内で個室なので回りの目を気にすることなく選ぶことができました。

1個目は、ショートデザインのウィッグを購入。とても気に入っていたので、抵抗もなく毎日着用していました。でも、ウィッグなので当たり前ですが伸びることはなく飽きてくるんです。そこで新たにウィッグを購入しようと思っていたとき、知り合いの美容師の方が「カットしてあげるよ」と言ってくれました。まさかウィッグをカットするなんて発想がなかったので驚きでした。違和感なく着けていたウィッグもカットしてもらったら顔の輪郭にもピッタリ。うれしかったですね。

カットしてもらえることを知ってからはウィッグにも愛着がわき、楽しいウィッグライフを送ることができました。また、自治体によっては〈がん〉患者がウィッグを購入する際に補助金が出る場合もあります。私の地域でも補助金が出ましたので助かりました。

「病気だからオシャレはできない」「今は治療に専念しないと」と身構えてしまうかもしれません。それはもったいない! 闘病中にしかできないお洒落をしいて過ごすのも楽しいですよ。

サポーター

関口明子
関口明子
フットケアセラピスト/ヨガインストラクター。
2020年9月、乳がんの告知を受ける。術前抗がん剤治療、部分切除手術、放射線治療を経験。治療中にヨガと出会い、ヨガインストラクターの資格を取得。ヨガインストラクターとして、キャンサー向けのヨガや幼稚園児(娘)を抱えるなかでの治療経験をふまえ、乳がん経験者だからこそできるサポートを展開中。


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