自分らしく

〈洋楽ポップス回顧録〉(4)金色の髪の少女 Sister Golden Hair

『名前のない馬』と並んで売れたシングル全米1位の曲

5月ですね。新緑が目に眩しく、暖かな陽光がやさしく降り注ぐ…こんな季節に似合う曲はたくさんありますが、今回ご紹介する『アメリカ』の楽曲も春にぴったりとくる爽やかなポップスです。

ロンドンで結成された『アメリカ』は1971年のデビュー以来、現在もコーラス/フォークロック・グループとして活躍しているバンドです。ここでひとつ疑問が湧きますよね。ロンドンで結成されたのに、なぜ、”アメリカ”? それは当時のメンバー3人(※)がいずれもロンドンに住むアメリカ人で、「故郷を想う気持ちが強かったから」みたいです。

彼らの代表曲として有名なのは、デビュー曲の『名前のない馬』(A Horse With No Name)。これと並んでよく挙げられるのが、1975年のヒット曲『金色の髪の少女』(Sister Golden Hair)です。私も当時はラジオの深夜放送で毎晩のように耳にしていましたね。この曲は5枚目のアルバム『ハート』(Hearts)に収められていて、シングルとして全米1位を獲得しています。因みに、彼らのキャリア上、全米1位に輝いたのは『名前のない馬』とこの『金色の髪の少女』の2曲です。

※1977年にメンバーの一人が脱退し、残りの二人がバンド活動を続行

ノリノリなポップさが当時のラジオで大受け

『金色の髪の少女』を聴いて気持ちよくなる要因は、軽快に響くアコギを十分に活かした”超ポップで抜群なノリ”が生み出すサウンドではないでしょうか。バンドの評価としては、昔から『クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング』(CSN&Y)の弟分とか模倣などというネガティブなものもありました。しかし、この曲や『ヴェンチュラ・ハイウェイ』(Ventura Highway)の出来映えから判断すると、 “弟分”や“模倣”のレベルとはまったく異次元の音楽だと言えるような気がします。

歌詞は「女性になかなか告白できない青年の青臭い気持ち」を表現するものです。しかし、曲の構成に“青臭さ”は微塵も感じられません。アコギとスライド・ギターの演奏で静かに始まり、彼らの持ち味である哀愁を漂わせながらもリズムに乗って疾走していくという曲調です。途中でいったんトーンダウンした後、エンディングに向けてコーラスが盛り上がる構成もよく考えられていると思われます。

▼金色の髪の少女 Sister Golden Hair
https://music.youtube.com/watch?v=KBanRNzG8T0

サポーター

重森 光
重森 光
紙媒体・Webサイトの編集者・ライター。ひたすらロックとヨーロッパサッカーを趣味として湘南で暮らす。じじいバンドでは、ドラムを担当。

プロフィール