乳がん生活:乳がんについて:副作用

〈脱毛問題〉(1)なぜ、脱毛が起きるの?

抗がん剤投与10日ほどで抜け始め、あっという間に眉毛もまつ毛も

抗がん剤投与2週間で脱毛が始まりました。排水溝にわさわさと溜まっていく真っ黒の髪の毛の塊を見るたび、一番不安だった副作用がやはり起きてしまったというショックで、お風呂場で泣いたこともしばしばありました。

そもそも、なぜ脱毛するのでしょうか?

抗がん剤は分裂の速いがん細胞を攻撃するため、正常細胞のなかでも分裂の速い毛母細胞(髪の毛のもとになる細胞)を攻撃し脱毛を起こします。

乳がん治療で使われるアンスラサイクリン系(ドキソルビシン、エピルビシン)やタキサン系抗がん剤(パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドセタキセル)は脱毛率が高く、最近の脱毛調査では「頭髪の8割以上脱毛した患者さんが94%いた」と報告されています。

抗がん剤治療から2~3週間後に脱毛が始まり、治療終了後、早い人で1か月(平均3.4カ月)程度で髪が生え始めます。個人差はありますが、その後、ショートの長さまで生え揃うには半年~1年ぐらいかかるため、初期治療でウィッグを使う期間は1~2年程度の方が多いようです。眉やまつ毛に関しては「8割以上脱毛した患者さんが60%いた」と報告されていますが、薄くなる程度の人もいます。

▼日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/

「ハゲネタ」が笑えなくなりました

男性の薄毛は、よくテレビでお笑いギャグのネタにされています。自分が脱毛問題に直面してから、全く笑えなくなりました。髪の毛だけでなく、身体の特徴を笑いにしているのも同じくどうも笑えません。「好きでそうなったわけでないのに」と…。髪の毛が抜けていく切ない気持ちは、体験してみないとわからないなあと実感しました。

サポーター

緒方佳美
緒方佳美
外資系企業数社を経て退社。
その後、乳がん発症。トリプルネガティブと診断され、術前抗がん剤治療、部分摘出手術、放射線治療を経験。家族にもがん体験者あり。治療中から、がんと仕事の両立支援や、がん体験者のための支援活動を考える。乳がん体験者コーディネーター(BEC)認定。
2018年10月、株式会社オフィスオガタ設立(人材紹介・コンサルティング業)。
多様性を認める社会形成への貢献を意識し、東北支援活動、地元の景観まちづくりの会での活動を通じて地域とのつながりも大事にしている。

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