乳がん生活:患者力:頼れるプロ

〈術後運動〉肩周辺の筋肉に力を入れましょう

筋肉収縮の仕方は3種類、まずは長さを変えない収縮から

筋肉の収縮には「長さが変わる収縮」と「長さの変わらない収縮」があり、以下のように分類されています。
①長さが短くなる収縮:コンセントリック収縮
②引き伸ばされて長くなる収縮:エキセントリック収縮
③長さの変わらない収縮:アイソメトリック収縮

「長さが変わらない収縮」というとイメージしづらいかもしれませんが、動かない壁を押しているときや、腕相撲で相手と力が均衡しているときを思い浮かべてみてください。それでは、早速、エクササイズをやってみましょう!

肩周辺に力を入れるトレーニング(1)~正面壁押し~

①壁に向かって正面にたちます
②腕を90度正面に向けて挙げ、手を開いて壁に手をつきます
③そのまま少しずつ力を加えて壁を押しましょう
④力をまっすぐにかけて、腕に対して垂直な軸圧を感じましょう
⑤呼吸は止めずに、7秒~12秒キープ
⑥慣れてきたら、30秒~60秒キープをして力を加え続けてください

▼正面壁押し
https://youtu.be/Xgcu42yD8aE

肩周辺に力を入れるトレーニング(2)~横向き壁押し~

①壁に対して患側を向け、90度横向きに立ちます
②腕を90度よく向きに挙げ、手を開いて壁に手をつきます
↓ ここからはトレーニング(1)と同じです!
③そのまま少しずつ力を加えて壁を押しましょう
④力をまっすぐにかけて、腕に対して垂直な軸圧を感じましょう
⑤呼吸は止めずに、7秒~12秒キープ
⑥慣れてきたら、30秒~60秒キープをして力を加え続けてください

▼横向き壁押し
https://youtu.be/fa2gYUmu5pY

肩に力を入れるトレーニング(3)~かべたて伏せ~

①壁に向かって正面に立ちます
②腕を90度挙げて両手のひらを壁につき、肘を真っ直ぐに伸ばします
③両肘を伸ばしたまま、ゆっくり体重をかけていき肩甲骨を寄せていきます
④手のひらから肩甲骨まで力を伝えるよう、壁を押して元の位置へ戻ります
⑤肩甲骨の動きを感じながら、左右の腕に均等に力をかけて肩甲骨を動かしてください

▼肩荷重壁たて
https://youtu.be/Yvo5mHo7fi8

身体にぶら下がっている構造の肩関節は、支える力が弱くなりがちです。手術直後は大きな力をかけづらいので、軸圧をかけて身体を支える機能から改善していきましょう。

次回は「握る」トレーニングについてお伝えます。

サポーター

長尾 樹
長尾 樹
1984年9月17日生まれ。
スポーツトレーナーとしてさまざまな競技チームと鍼灸マッサージ院で経験を積み、2014年より広尾にコンディショニングルームをオープン。
乳癌を発症してからゴルフに復帰するまでのクライアントのコンディショニングを総合的にマネジメントした経験をもつ。
資格:鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師/JSPOアスレティックトレーナー

プロフィール