自分らしく

ゆず

ゆず

ああ 今日は
きのうよりも
少しだけ
昼の時間が長くなったんだ

きのう
おふろに入れそこなった
ゆずのスライスに
砂糖をかけて食べながら

ちょっとうれしい
冬至の次の日

ある日、送り状に「かんきつ類」と書かれた荷物が、叔父から届きました。「うちの庭になったよ。名前がわからなくて」と手紙が入っていました。黄色くて、ずっしり重くて、酸味の強い果実でした。「かん!」「きつ!」…きりっと響く語感が喉を通り、まさに、かんきつ類だなあと思ったものです。

沖縄にダイビングに行くと独特の苦みがある「シークヮーサー」のとりこになり、徳島に仕事に行くときちんとひきしまった緑色の「すだち」が大好きになり、大分の親戚を訪ねるとジューシーな「かぼす」に感動して。しまなみ海道をドライブしたときは不揃いな「レモン」につい手を伸ばし、道の駅などでは名前が覚えられない「○○柑」に出会うこともしばしばです。

どこの土地でも、そこに住んでいる友人や親類は「買うもんじゃなくて庭になってるんだよ」「世話もしないのに、畑の脇にあるんだよ」などといいます。かんきつ類の木を植えるような所のない私には、なんともうらやましい話です。

サクラやハナミズキはとても華やかで美しいけれど、あっという間に見ごろを終えて散っていきますが、比べるとかんきつ類はとても長い間、人の目を楽しませてくれます。毎朝通りかかる家の塀から、寒くなっても黄色い実がたくさんなっている枝振りを見ると、なんだか元気になります。

酸っぱいかんきつ類が手に入ったら、輪切りにして砂糖をたっぷりかけて電子レンジの弱でくつくつと煮て、瓶に詰めておきましょう。夜の長い冬至のころには、焼酎かウィスキーのお湯割りにたっぷり入れるのがお勧めです。寒い冬でも風邪を寄せつけない一杯となりそうです。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

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