自分らしく

ヘアドネーション31㎝以上の理由

フルウィッグに用いる毛髪の世界的基準は12インチ

JHD&C、HEROの2団体では、募集している髪の長さを「31㎝以上」と定めています。この長さは、頭全体を覆うフルウィッグに用いる毛髪の世界的基準「12インチ」をセンチメートルに換算した数値です。

寄付された髪は丁寧なトリートメントの後にさまざまな工程を経て植毛しますが、その際に髪を二つ折りにします。つまり31㎝の場合は、約15㎝の長さで植えることになります。これは植毛したときに髪が寝る最短の長さで、15㎝以下では髪が立ってしまいスタイルをキープすることができないのです。31㎝に満たない髪でフルウィッグをつくることができないのは、こうした理由があるからといえます。

31㎝でできるのは、男の子用またはショートヘアのウィッグ

31㎝の髪でできるのは主に男の子用です。女の子用であればショートヘアのウィッグになります。HEROによると女の子用の場合40㎝や50㎝以上の髪を半分ではなく7対3や6対4などの割合で折り返し、31㎝の髪と折り混ぜながらつくるとのこと。つまり、31㎝の髪だけでできるのは多くが男の子用のウィッグということです。一方でウィッグ希望の申し込みをしている子どもたちの9割が女の子という現実があり、50㎝以上の髪が慢性的に不足しています。

無理せず自分にできる範囲で

私が寄付した髪は31㎝は超えましたが、残念ながら40㎝には届きませんでした。おそらく男の子用またはショートスタイルのウィッグに用いられたと推測されます。簡単に最低限31㎝と言っていますが、私にはそれ自体が容易なことではありませんでした。もっと伸ばしていたら、軽く引っ張っただけで切れてしまうほどのダメージヘアとなり団体に受け入れてもらえなかったでしょう。

職業、性別、体質、毛質によって髪を伸ばすことが厳しい方は少なくないと思います。私自身がここまで伸ばすことができたのは、化学療法終了以降の体調が概ね良かったからといえます。たとえば、この5年の間に悪性リンパ腫や乳がんが再発し、抗がん剤治療が始まれば同時に脱毛する可能性も高いわけでヘアードネーションどころではなくなります。

寄付は気持ちの問題ですので、まずは無理せず自分の事情に見合った範囲で良いと思います。でも、40㎝、50㎝に届きそうな人には「長い髪ほど用途が広がる」ことをご理解いただき、ぜひチャレンジしていただきたいです。他力本願を承知で言いますが、私のようにしたくてもできなかった人たちの思いをつないでほしいと心から思っています。

サポーター

MEG
MEG
キャビンアテンダントとして20数年勤務したエアラインを退職し、求職活動中。
ワンオペ育児・両親の介護・左乳房に発症した2つのがん(悪性リンパ腫/乳がん)と向き合う。抗がん剤、髄注、手術、放射線治療を経て、アロマターゼ阻害薬でホルモン療法中。
要介護4の実父、要支援1の実母、子どもは小3男児。趣味は9㎏減量に成功したフラダンス。
BEC乳がん体験者コーディネーター認定。令和元年度実施の国家試験で保育士資格取得。

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