乳がん生活:患者力:頼れるプロ

マスクの弊害?

今回、運動のお話と少し離れますが、コロナ禍おいてご来店されるお客様の身体に確実な変化が起きています。私の治療経験からのアドバイスとして、ぜひとも留意していただきたいことがあります。

身体の症状に変化が出ている

現在、都内で鍼灸院を運営しており、そこで気がついた点があります。それは、コロナ禍がスタートしてからご来店される方の症状に変化が出てきていること。代表的なものをいくつかご紹介します。

①肩首まわり
もともと、肩こりや首のこりは鍼灸院へ通われている方の多くが主として訴えている症状です。コロナが始まって5か月を経過した今、「いつもと違う」肩こりや首のこりを訴える方が多くなってきました。

②お腹や腰周り
自粛太り、リモートワーク太りという言葉も出ていますが、お腹や腰まわりの筋肉が固くなっている方も多くなっています。今は湿度も高いので、胃腸の症状がきっかけでギックリ腰など急性腰痛を発症する方も増えています。

③ケガが増えている
足首を捻る、手をぶつける、転倒する…こういったケガが増えています。何もないところで転んだり、特に意識したことのない段差でつまずいたりと、さまざまなケースでケガを負う方が出ています。

こうした症状にはさまざま要因が考えられますが、ひとつには「マスク着用」があると思われます。

マスクの弊害って何?

もちろん、きちんとした研究結果(エビデンス)は出ていません。マスク着用が日常化することなど誰も想定していなかったでしょうからね。しかし、継続的に口元を圧迫されて取り込む酸素が制限され、さらに耳を前方に引っ張られるという状態が何も影響ないと考える方がおかしくはないでしょうか?

歯科医は唾液分泌の低下や口内環境悪化を訴えていますし、マインドフルネスの専門家は呼吸の浅さを訴えています。骨折で来院される方が増えているという画像診断のドクターもおります。我々、鍼灸師やトレーナーからするとマスクは呼吸が浅くなり、口呼吸が誘発され首が前に出て猫背が誘発されます。姿勢変化や呼吸変化は冒頭に紹介した3つの身体の状態と相関性が深いのです。

不要なときは意識して外す

人混みを歩いているとき、狭い空間にいなければならないときなど、3密を基準にするとどうしても外せない場合もありますが、隙を見てこまめにマスクを外す習慣をぜひ実践してみてください。鍼灸師やトレーナーは慢性的な身体の症状を多く扱っている仕事です。マスクによる変化はゆっくりですが、確実にネガティブな方向へ身体を導いています。細かいことですが、コロナ以外から身体を守ることも忘れずにしていきましょう!

サポーター

長尾 樹
長尾 樹
1984年9月17日生まれ。
スポーツトレーナーとしてさまざまな競技チームと鍼灸マッサージ院で経験を積み、2014年より広尾にコンディショニングルームをオープン。
乳癌を発症してからゴルフに復帰するまでのクライアントのコンディショニングを総合的にマネジメントした経験をもつ。
資格:鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師/JSPOアスレティックトレーナー

プロフィール