乳がん生活:患者力:患者力アップのヒント

下着のはなし(2)

再建の段階

再建は、次のような3つの段階で行われます。
①皮膚を伸ばすために「ティッシュエキスパンダー」という風船みたいなものを入れる(問題なければ〈がん〉の切除手術と同時に行われることも)
②本手術
③調整と乳頭乳輪づくり
私の場合は、〈がん〉の切除術から2年後にこの段階を始めました。 

再建途中

〈段階1〉
胸に風船を入れ、そのなかに徐々に生理的食塩水を入れて膨らませていきます。胸の膨らみができてくるため、胸の詰め物は不要になっていきました。2年間、フラット胸を体験していた私は、この段階で「このまま本手術しなくていいかも」なんて先生に話していたぐらいです。皮膚を伸ばしていたそのころは、ちょっとヒリヒリしていたので、優しい肌触りのスポーツブラにさらにガーゼを挟んだりしていました。

〈段階2〉
本手術後は、胸の形を整えなければいけないので、「ワイヤー付のブラを使ってください」と指示されました。整えた後は、基本的に自由に選べます。

〈段階3〉
乳頭をつくった後、1か月ぐらいは乳頭がつぶれないように穴の開いたプロテクターを貼ることが必要です。そのため、普通の下着はつけられません。プロテクターをニプレスのように考え、あとはキャミソールで過ごしました。実はこのとき仕事でイブニングドレスを着なければいけなかったので、前はギャザー、背中を開けたデザインのドレスでしのぎました。

予期せぬ不都合。実はドナー部分の方がたいへん

想像以上にたいへんだったのが、ドナー側の内腿。「もっとも整容性に影響がない」ということで、私は内腿の脂肪を使った自家組織での再建を選択しました。

術後すぐ、カフェによくある木の椅子に座るのもつらく、ひざ掛けなどを所望し、座布団にしたりしました。なんといっても、かなりきついハードガードルを半年ぐらい装着しなければいけないのがたいへん。普段、ガードルを使っていなかったので余計です。

半年後は、U社のソフトなシェイプパンツなどを徐々に利用できるようになって楽になりました。ドナー部分の傷口は内腿で動きやすいところだったこともあり結局開いてしまい、今でも一部は2cmほどの大きさの傷あととなってしまいました。形成の先生からは「つまんできれいにできる」といわれますが、あの強力ガードルの日々を思うと躊躇してしまい、現状のままです。

今でも痛い

今でも実は股の部分の脂肪が少ないため、下着のレースがあたって痛さを感じることがあります。また、脂肪が少ないためソフトなゴムや柔らかな素材でないと繰り上がってくることもあります。今はU社のシームレスパンツを愛用していますが、新しいときはそれでも痛かったりします。

再建については、「事前に気づけなかったことがたくさんある」と思ったのが実際でしたが、ドナー部位や量などかなり個人差がありますので、一例としてそんなこともあるのかと考えていただければと思います。

サポーター

Chicca
Chicca
マーケティングコンサル会社代表。
福岡県出身。高校時代に海外留学。大学卒業後、証券会社の海外勤務、内外化粧品会社マネジメント、事業開発、マーケティング、ラグジュアリーブランド、海外化粧品ブランド日本代表などを経て、現在に至る。
44歳のときに左乳がん発症。部分摘出、全摘手術の2度にわたる手術を経て、2年後に自家組織による再建に着手。2019年卒業。
趣味は、旅行、温泉、茶道、書道、着物、アルゼンチンタンゴ。

プロフィール