乳がん生活:患者力:患者力アップのヒント

乳房再建への道(3)

エベレスト本番

中に入れる自家組織を「ドナー部分」といいますが、これをどこの部位からとるのもまた悩みどころです。大きく脂肪がとれるため、下腹からというのが一般的だとか。ただ、傷口が左右均等になるため大きくなる一方、実はおへそがなくなります。あとからタトゥーでちゃんとつくるので、ぱっと見はわからなくなるはずですけど…。他に、背中の肩甲骨の下側、内腿、とオプションはありますが、なかなかお腹以外からドナーをとってくれる先生が少ないようです。

私の場合、ある程度の量がとれて整容的に一番響かないということで、内腿からとることにしました。

バレンタインデーの本手術

2年ぐらいしてからと思っていたエベレストが半年でやってきて、あれよあれよという間に本手術となりました。手術日はバレンタインデーです。

手術自体はさすがのゴットハンド、速くはありましたが、8時間ほどかかったそうです。先生方は血管を一つ一つつなげて大変なのでしょうが、本人は全身麻酔で眠っているので大変ではありません。あとから聞くと、手術中は何度も上体を起こされて、きれいな胸になるように調整していただきながらの手術だったそうです。

術後がエベレスト本番だった

大変なのは、それからでした。せっかく繋げた血管が切れてしまってはいけないので、3日間動いてはいけません。これがなんともつらい。最初は看護師さんが1時間ごとにやってきて血流がちゃんとあることをチェックし、少しでも動くと怒られました。もしも移植した組織が壊死などしたら、この苦労も自分の組織も手術もパーになりますしね。

3日間経ってようやく動けるようになっても、きついガードルとコルセットからは離れられず、退院してからもしばらくガードル生活は続きました。やはりよく動かす部分がドナーだったので傷口が開いてしまい、内腿からお尻の下側まである傷口のうち、特に内腿のところはそのまま大きな傷跡となってしまいました。形成の先生はそこもきれいに治してあげると言ってくださいましたが、また皮膚をつまむことも面倒で、そのままにしています。

結果にとても満足はしていますが、「メスを全く入れない身体のとおりになるというわけではない」という当たり前のことを納得して進めることが大切だと思います。

サポーター

Chicca
Chicca
マーケティングコンサル会社代表。
福岡県出身。高校時代に海外留学。大学卒業後、証券会社の海外勤務、内外化粧品会社マネジメント、事業開発、マーケティング、ラグジュアリーブランド、海外化粧品ブランド日本代表などを経て、現在に至る。
44歳のときに左乳がん発症。部分摘出、全摘手術の2度にわたる手術を経て、2年後に自家組織による再建に着手。2019年卒業。
趣味は、旅行、温泉、茶道、書道、着物、アルゼンチンタンゴ。

プロフィール