乳がん生活:患者力:頼れるプロ

手術後の運動は、どう始めたらいいの?

パーソナルトレーニングと鍼灸マッサージでコンディショニングをしている長尾です。

元気にスポーツをされている方にとって、術後も今と同じように活動ができるのか、どんな点に注意して運動を再開すればいいのかなど、不安なことも多いと思います。そこで私の経験に基づいて、どのように術後スポーツなどアクティブな身体活動に復帰していけばいいかをご紹介します。

注意するポイントは、リンパ浮腫を出さないこと

運動をすると、筋肉へ流れる血液量が増えて充血します。血液量が増えるとそれに伴い、静脈に隣接しているリンパ管に流れる水分量も増えていきます。手術でリンパ節を切除するとリンパの循環が悪くなり、術前は問題なかった水分量でもリンパ管が滞り浮腫になりやすくなります。ということで、運動を再開する際には浮腫が出ないよう強度を見極めることが大切になります。

運動強度は徐々に上げていきましょう!
理学療法士や医療知識のあるトレーナーに相談を

では、浮腫が出ない運動強度は具体的にどのくらいでしょうか。これは、とても個人差が大きいんです。日常から運動をしていて筋肉が発達している方は、筋肉の収縮力でリンパ液を循環させる力が強いですし、手術の術式やどの程度までリンパ節を切除したかによっても大きく違ってきます。

そのため、最初は担当の先生に運動を開始していいか確認を取り、理学療法士や医療知識のあるトレーナーの下で徐々に強度を高めていくようにしましょう。最初は動かないことや、力の入らなさにショックを受けてしまうこともあると思いますが、時間の経過と適切なトレーニングで筋力は必ず回復しますので焦らず進めてください。

浮腫を出さないように、感覚値を磨いておいてほしい

浮腫を出さないポイントは、「手術をした部分の血圧を上げすぎない」ことです。血圧は箇所によって差があり、運動して使っている部分は血液が集まるため高くなります。そのため運動再開初期は、呼吸を止めないことを意識して血圧が上がりにくくしてください。たとえば、手を床について持続的に力を発揮する「腕立て伏せ」のようなトレーニングは避けるようにしましょう。

また、筋肉を使う感覚はトレーニングすると養われていきます。手術の前に可能な範囲で運動をして筋肉量を落とさないことと、感覚を養うことをお勧めします。感覚が養われると、今の自分ができる運動強度をつかみやすくなります。

次回は、具体的なトレーニングをご紹介していきます。

長尾 樹
プロフィール

サポーター

長尾 樹
長尾 樹
1984年9月17日生まれ。
スポーツトレーナーとしてさまざまな競技チームと鍼灸マッサージ院で経験を積み、2014年より広尾にコンディショニングルームをオープン。
乳癌を発症してからゴルフに復帰するまでのクライアントのコンディショニングを総合的にマネジメントした経験をもつ。
資格:鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師/JSPOアスレティックトレーナー

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