乳がん生活:乳がんについて:治療

放射線治療を始める

手術後2か月後にスタート、照射前の準備

部分摘出手術のあと、2か月後に放射線治療が始まりました。開始前にCTやコンピューターで、がんや周囲の正常組織の位置を正確に把握して、どの部位に、どの方向から、どのくらいの量を何回に分けて照射するかを検討し、治療計画を立てていきます。

照射する範囲を示すために、皮膚にマーキングも行いました。油性マジックで線を引くのですが、「身体にマジックで線を引くなんて」と驚きました。放射線治療中は消さないでとのこと。「入浴したら取れてしまいそうですが?」と聞くと、取れたらまた線を引きますので大丈夫と言われました。

同じ時間に毎日通う

1週間に土日以外の5日、同じ時間帯に予約して、毎日通院することになりました。私は朝9時半から10時の間でしたので、通勤電車でかなり混み合う時間。「手術痕に人がぶつかったりするのでは」とかなり不安でした。東京の通勤電車のなかで人と人がぶつかりあうほどの混み具合は、毎日当たり前の生活でしたが、改めて他人との距離をこれほど意識したのは初めてでした。

放射線科に到着するとロッカーで着替えをし、ベンチで名前を呼ばれるのを待ちます。周りで同じように静かに順番を待っている人たち…「こんなにがんに罹患している方がいるのだなあ」と実感するときでした。照射は毎日でしたが、放射線科の先生の診察は週に一度。変わったことはないか、体調はどうかなどのチェックをしてもらいます。

照射は数分

名前を呼ばれて放射線の部屋へ行くと、仰々しい機器。なんだかちょっと宇宙っぽい、というのが第一印象でした。映画『2001年宇宙の旅』の船内にいるかのような不思議な感じでした。ベッドに横たわり、角度を変えて数分ずつ照射。放射線技師の方々はいつも優しく、「ゆっくりでいいですよ」「体調はいかがですか」と声をかけていただきました。照射のときは痛くも痒くもなく、特に不快感はありません。着替えも入れて一日30分程度でした。

放射線治療後はけだるい

ちょうどゴールデンウイークをはさんでいたので、こんな日々が5週間ほど続きましたが、放射線治療の日はちょっとけだるくて疲れたかなと思う程度。日中でもすぐ眠くなって、夜は8時、9時には就寝する生活となりました。「何と健康的な」と苦笑したものです。

2週目くらいには、照射部分が少し赤く、日焼けした最初のような少しヒリヒリ感とかゆみを感じました。そのうち、徐々に黒っぽく変色してきて、まさに日焼けと一緒でした。「入浴時はごしごしこすらないように」と言われていたので、肌にやさしいガーゼでそっと表面をなでるような感じで身体を洗っていました。

治療後しばらくすると、皮膚が硬くなってきて、軟膏をもらい塗布していました。黒かった皮膚は日焼けが取れていくかのように時間とともに薄くなり、そのうち消えました。

放射線治療については、こちらを参照してください。
▼国立がん研究センター がん情報サービス 放射線治療
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03-01-06.html#a4

肌にやさしいガーゼはこちらを使っていました。
▼takefu竹のボディタオル(ベビーソフト)
http://www.takefu-shop.com/?mode=cate&cbid=1940974&csid=0

サポーター

緒方佳美
緒方佳美
外資系企業数社を経て退社。
その後、乳がん発症。トリプルネガティブと診断され、術前抗がん剤治療、部分摘出手術、放射線治療を経験。家族にもがん体験者あり。治療中から、がんと仕事の両立支援や、がん体験者のための支援活動を考える。乳がん体験者コーディネーター(BEC)認定。
2018年10月、株式会社オフィスオガタ設立(人材紹介・コンサルティング業)。
多様性を認める社会形成への貢献を意識し、東北支援活動、地元の景観まちづくりの会での活動を通じて地域とのつながりも大事にしている。

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