自分らしく

絵本について(1)

懐かしい感覚やホッとした気持ちが戻ってくるかも

『えほん未来ラボ』というコミュニティーの代表をしています「ドンハマ★」こと、濱崎です。緊急事態宣言が発令されて、もう1か月以上。私もそうですが、それまでとの生活習慣がまったく変わってしまったという方々もたくさんいらっしゃると思います。

新型コロナに関する報道が日々いろんな形でなされるなかで、私たちの不安や辛さも形を変えて襲ってきます。なかなか自分らしく時間を過ごすというのも簡単なことではないかもしれません。

そんなとき、絵本を手に取ってみるというのはいかがでしょうか? 懐かしい感覚や忘れかけていたホッとした気持ちが戻ってくるかもしれません。私は、このコロナ災害の状況で「旅する絵本」(*)という企画に携わっていて、日々10冊以上の絵本に目を通しています。実は、もともと我が家にあった絵本ばかりなのですが、すっかり内容を忘れていて、久しぶりに読んでみて、とても新鮮な気分を味わったりしているのです。

未知との遭遇や冒険などは、よく絵本のテーマになるわけですが、コロナの状況下に照らして読むと、ウイルスの存在する意味やアフターコロナでの自分の在り方を感じたりします。これまでと違う楽しみ方が今だからこそできるのかもしれません。

今日は、いくつか例を挙げてみたいと思います。

『世界でいちばんやかましい音』

ベンジャミン・エルキン 作/松岡享子 訳/太田大八 絵/こぐま社

王子はうるさい音が大好きで、もっともっとうるさい音が聞きたいというのです。そこで、王子の誕生日の生まれた時間に世界中の人が同時にぎゃあぎゃあ騒いでお祝いすることになったのですが、人々のちょっとした出来心がどんどん広がって、そこで起きたことは意外なことでした。私は、テレワークが続くなかで、最近、朝の散歩続けているのですが、早朝歩くとちょっとした自然の発見などをすることがあって、そのハッとする感じがここにも描かれていているなあと思いました。

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『それしかないわけないでしょう』

ヨシタケシンスケ 作/白泉社

子どもって未来はこんなこと起きるとか、こういう時代がくるとか、大人たちに結構ビビらされたりするわけですが、主人公の女の子が、おばあちゃんとやり取りするなかで「そんなことないでしょう」と発想が転換していく様子がおもしろい絵本です。ヨシタケワールド全開なのですが、まさに今、コロナな日々にあって、予定調和以外が起きている状況を考えると、発想の転換が必要だなあとしみじみ感じるのです。

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『しごとをとりかえただんなさん』

ノルウェーの昔話/ウィリアム・ウィースナー 絵/あきのしょういちろう 訳/童話館出版

これはタイトルがそのままのお話です。農作業を仕事にしているだんなさんが、「お前の仕事は楽で良いなあ~」とおかみさんに言ったことから、仕事(役割)の交換をするわけですが、顛末は想像どおりというわけです(笑)。STAY HOMEな日々で、私もごはんを作ったり、炊事をしたりが、以前より増えているのですが、気晴らしの部分もあり、またちょっと面倒だなと思うこともあります。この物語の世界観は、今世のなかの家庭で起きていることのように思われました。

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さて、今はコロナの影響で、図書館も閉館しているところが多いですし、書店も休業のところもたくさんあり、なかなか新しい本を手にするのも難しい状況かもしれません。ですので、何も新しい絵本にこだわる必要はないと思うのです。ご自宅にある絵本からエネルギーやメッセージをいろいろもらえるのではないかと思います。書棚やお子さんの小さかったころの思い出箱などお探しになってみてはいかがでしょうか?

*旅する絵本
『えほん未来ラボ』では、「アマビエといっしょに旅する絵本~コロナ(567)災害を超えよう」と題して、568冊の絵本を日本中に送るという活動を行っています。4/15からスタートしましたが、5/17に予定申込数に達しました。お申し込みいただきました皆さまに、心より御礼申し上げます。

▼えほん未来ラボ
https://ehonmirai-lab.org/

サポーター

濱崎祐一
濱崎祐一
1962年生まれ。京都府宇治市出身。2014年から『大人だけの絵本会』を主宰し、人々が自分らしくいられる場所づくりを行う。全国で300回以上の絵本イベントを開催。参加者数は、のべ5000人以上に及ぶ。2019年12月には、「えほん未来ラボ」を設立、幸福度の高い社会を実現するために絵本のさらなる可能性を追究している。

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