乳がん生活:乳がんについて:基礎知識

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)

遺伝要因が強く関わっている〈がん〉を『遺伝性のがん』といいます。そして遺伝性の〈がん〉のほとんどは、『がん抑制遺伝子』の変異が原因といわれています。

『遺伝性乳がん卵巣がん症候群』は、BRCA1、BRCA2という2種類の遺伝子の変異が原因として知られています。採血した血液中のこれらの遺伝子の変異を調べることによって診断されますが、すべての乳がん、卵巣がんの患者さんがこの検査を受けるというわけではありません。

遺伝性乳がん卵巣がんを考慮する要素としては、次のような項目があります。
①若年で発症した乳がん
②複数の乳がん(両側、あるいは片側に複数)
③トリプルネガティブ乳がん
④男性乳がん
⑤乳がんの他に卵巣がん、腹膜がん、すい臓がんになったことがある
⑥家系内に乳がん、卵巣がん、すい臓がん、前立腺がんになった人がいる

また、検査の結果が陽性であっても、陰性であっても、それを聞くことによる影響(メリット・デメリット)があります。そういったことを正しく理解した上で検査を受けることが大切です。そのために事前の医師の診察、遺伝カウンセリングが必要です。

※遺伝子検査や遺伝カウンセリングの体制は施設によって差があります。
※2020年4月からは〈乳がん〉になった人で一定の条件を満たせば、保険診療でBRCA遺伝子の検査が受けられるようになりました。

●参考
『遺伝性乳がん卵巣がん症候群ガイドライン 2021年版』金原出版
『遺伝性乳がん・卵巣がんを生きる』採流社

サポーター

みうら ゆきこ
みうら ゆきこ
東京都出身。
〈がん〉発症を機に、都内の病院内がん患者サロンの立ち上げ・運営に関わる。
その後、同院内に『がん情報センター』が開設されたので、それまで勤務していた高校教諭の職を離れ、がん情報ナビゲーターとして病院に勤務(2022年3月まで)。
現在は、若い頃から親しんできた日本舞踊、江戸小唄、古典文学をはじめとした日本の伝統文化を紹介、楽しむ場『想庵』を運営。

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