自分らしく

秘密基地

日常とは異なる空間と時間。仲間と一緒に

小学生の頃、秘密基地と呼べるのは友人の自宅。大量のおたまじゃくしが繁殖し黒く変色した池。敷地の一画は昼でも木々が生い茂っているため、太陽の光を通さない庭。10名程のクラスメートが集まり、架空の敵・味方をつくって即興の芝居遊び。夕方5時に流れるチャイムが現実に戻るサイン。雨の日には、漫画置き場と化された無住の別棟で、『サイボーグ009』や楳図かずお氏の恐怖漫画を読み耽ったものです。

外で遊ぶときは友人たちの迫真の演技とストーリーのなかで、100%「役」になりきることが暗黙の了解事項。漫画からは近未来とも思えるカッコイイ世界、そして理不尽とも感じる恐怖を知ることになりました。そこでは動と静の時間が流れていました。月日は流れ当時の秘密基地は、友人の苗字が入った巨大なオフィスビルへ。

大人の秘密基地。自分が見守られる場所に

心地良い緊張感が保たれ、そこで迎えてくださるスタッフは私の名前や顔を知っていても、決して友人でも仲間でもありません。敢えていえば、ゲストとホストの関係。ただ、見守られている安堵感は何物にも代えがたい場所。一人で自分に喝を入れたいときや気持ちを切り替えたいとき、秘密基地はいつも暖かく私を迎え入れてくれます。

一期一会で利用される機会が多い「基地」ですが、25年以上通い続けると、第二の我が家のように感じることがあります。「集まり散じて、人は変われど」は某大学の校歌の一節ですが、まさに今の「基地」はそれを地で行く場所。いつまでも、いつまでも長くその場所にあり続け、この先もずっと見守り続けてほしいと切に願う今日この頃です。

The Bar @ Westin Hotelにて。

Author profile

田上ハル
田上ハル
東京都出身。
留学支援と日本語教育の両分野で活躍。留学分野では高校生の交換留学業界で25年以上、派遣と受け入れの業務を遂行。現在は、週4日、留学関係の仕事に従事。2017年に日本語教師資格を取得。日本語学校の他、地域のボランティアとしても日本語を教える。
1998年、父が膵臓癌で他界。趣味は仏像やJAZZの鑑賞、SMAP、美術館・博物館巡り。パワーの源は、美味しいお酒を飲むこと。

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