自分らしく

力をくれるピーター・ポール&マリーの歌

混沌とした時代に生まれたモダン・フォーク

60年代のアメリカで若者が熱中した音楽はロックン・ロールでした。エルビス・プレスリーやザ・ビートルズが登場した時代です。エレキ・ギターにシャウトする歌声とダンスに若者が熱狂しました。同じ時代、ギター1本で歌う音楽、モダン・フォークもまた社会に反論する若者たちの支持を集めました。

その時代、アメリカの社会は混沌としていました。ケネディ大統領やキング牧師が暗殺され、ベトナム戦争も激化します。不安な社会に若者は不満を膨らませます。熱情的なロックが人気だったのも、そんな社会からの逃避だったのかもしれません。一方でシンプルな歌でメッセージを歌い上げたのがモダン・フォークでした。

キング牧師が「私には夢がある」と語った名演説で有名なワシントン大行進(1963年)は、人種差別撤廃を求めて行われた歴史的なデモです。そのとき、3人組のフォーク・グループが「風に吹かれて」(ボブ・ディラン作)を歌いました。ピーター・ポール&マリーという、男性2人に女性1人のグループです。前年にデビューしたばかりの3人でしたが、彼らの歌声はデモに参加したおよそ20万人を魅了しました。そして一躍、モダン・フォークのスターになったのです。

ピーター・ポール&マリーの輝きを失わない歌声

ピーター・ポール&マリーの男女「混声」が生み出すコーラスには、力強さと包容力があります。歌詞の意味が分からなくともピュアな感動を覚えます。ワシントン大行進の参加者を応援したように、時を経ても3人の歌声は聴く者を励ましてくれます。

「風に吹かれて」や「花はどこに行った」といったメッセージ・ソングは力強さを感じる代表曲です。また「レモンツリー」や「くよくよするなよ」「朝の雨」などの情緒的なラブソングも、交差するコーラスが美しい名曲です。ギターとコーラスのシンプルな演奏も、今の時代にはかえって新鮮です。

ピーター・ポール&マリーの3人は休止の時期もありましたが、40年に渡って活動を続けました。2009年にマリーが他界した後、3人で歌うことは叶わなくなりました。時代を経て彼らの歌は懐かしいオールディーズになりましたが、数々の名曲は輝きを失うことはありません。

「少し力が欲しい」って思うこと、ありますよね。そんなとき、ピーター・ポール&マリーの歌声を聴くと、なぜか力が湧いてくるように感じませんか。

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浅井 祐二
浅井 祐二
ガラス・メーカーや外資のブランド会社に勤務し、現在は宝飾会社のアドバイザーを務める。
愛好するスムーズ・ジャズの素人ブログを発信している。

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