病気:乳がんについて

タイプから検診まで、乳がんの基本的な情報を網羅します。まずはこうしたことを知って、あなたらしい生活をゆっくり広げてください。

基礎知識

乳がんって、ひとつじゃないの?

人それぞれ治療方法が違うのは、人それぞれ、がんが違うから

乳がんが見つかったら治療を受けることになります。ただ、治療はがんの進行度や性質によって、患者さんそれぞれ異なります。 私も乳がんとわかって周りの体験者に聞いても、あまり参考になりませんでした。がんのタイプが違って、治療方法が異なったためです。

乳がんの性質って?

がんの性質は5つのサブタイプと言われる種類があり、悪性度の高いものからおとなしいタイプのものまで分かれています。ホルモン受容体、HER2タンパク発現、がんの増殖能力(Ki67)によって、次の5タイプがあり、推奨される薬物療法の内容が異なります。
 ①ルミナルA型
 ②ルミナルB型(HER2陰性)
 ③ルミナルB型(HER2陽性)
 ④HER2型
 ⑤トリプルネガティブ

がん細胞が女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンの刺激を受けて増殖する可能性があることを「ホルモン感受性あり」といい、ホルモン受容体にくっついて増殖を促進します。

同じ乳がんでも、比較的おとなしいものから悪性度が高いものまで、その性質はさまざまです。ホルモン受容体(ホルモン感受性)の有無、HER2タンパクの過剰発現の有無、がん細胞の増殖能力を示す指標Ki67によって5つのサブタイプに分けられ、推奨される薬物療法の内容が異なります(下表)。

ホルモン受容体陽性の乳がんは「ルミナル(Luminal)タイプ」と呼ばれ、がんの増殖能力が低い場合は「ルミナルA型」、高い場合とHER2陽性の場合には「ルミナルB型」に分類されます。 Ki67は増殖する細胞核に多くみられるタンパクで、Ki67の発現が高いほど増殖能力と悪性度が高く、抗がん剤が効きやすい特徴があります。

※なお、Ki67値の高低については一定の基準はなく、現在、研究が進められています。

乳がんのサブタイプ分類

「乳がん 受診から診断、治療、経過観察の流れ」 国立がん研究センターがん情報サービスを参考に作成

*キャンサーネットジャパン 小冊子『もっと知ってほしい乳がんのこと』
https://www.cancernet.jp/wordpress/wp-content/uploads/2012/10/w_nyugan20181108.pdf

抗がん剤しか選択肢がなかった

私はホルモン受容体もHER2も陰性のトリプルネガティブだったため、抗がん剤しか選択肢がありませんでしたが、悪性度と増殖力が高く、「むしろ抗がん剤が効きやすい」と言われました。主治医を信じて、乳がん確定した日から約2週間で抗がん剤治療がスタートしたのです。

緒方 佳美 プロフィール

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治療

標準治療って、「並みランクの治療」のこと?  違います

がん発症して、治療方針の話になったとき初めて聞く「標準治療」。もっとレベルの高い治療がありそうですが…?

最初に「標準治療」という言葉を聞いたときの第一印象は、「普通の治療を受けていいの? もっといい治療があるの?」という感じでした。 自分もそうでしたが、標準治療という言葉で誤解している方は多いと思います。

標準治療とは「並みランクの治療」でなくて、「多くの臨床試験の結果をもとに検討がなされ、専門家の間で合意が得られている最善の治療法」、また「現時点で得られている科学的な根拠に基づいた最もよい治療」のことを「標準治療」と言います。

科学的に有効性や安全性が実証された治療法のことだと聞き、まずはこれを迷わず選択しました。 副作用などの影響も踏まえた上での多くの人に推奨できる治療法とも言えます。抗がん剤では、「現時点で最も治療効果が高い」「治療効果は同程度だが副作用が少ない治療法」などと理解していいと思います。もちろん副作用はありましたけど…。後悔したことはありません。

がんの治療は、技術の進歩や医学研究の成果とともに変化しています。現時点で、手術、薬物療法、放射線治療をそれぞれ単独で、あるいはいくつかを組み合わせた方法で行われるベストな治療法が「標準治療」なのです。

ほとんどの種類のがんにおいて、手術、薬物療法、放射線治療以外の方法は、科学的に有効性が確認されていないそうです。健康食品を摂るとしても「標準治療にプラスする」ということですが、標準治療以外を試したい場合も主治医に相談した方が安心ですね。

同じ乳がんでも一人ひとり治療内容が違います

乳がんの治療は、人によって異なります。 手術、ホルモン療法、抗がん剤、放射線治療などがあり、治療方針を決める際、それらのなか中から適切な治療の組み合わせを決めていきます。

標準治療は一つだけとは限らず、複数の治療法が示される場合もあります。 全員一緒の治療なのかと思っていたら、それぞれの人にとって「標準治療」は異なることを知りました。病気の状況(がんの大きさ、転移の有無、がんの広がり)、がん細胞の性質(悪性度、タイプ、増殖指標)、患者さんの身体の状態(妊娠、閉経、臓器の健康状態)、患者の希望などを考慮して決めていくいってみたら「セミオーダーの治療」とも言えそうなものです。

がんを告げられ「どうしよう…」と悩まれたら、まずは標準治療がおすすめです。

*国立がん研究センター がん情報サービスより
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html

*日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」より
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g3/q12/
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g3/q09/

緒方 佳美
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副作用

抗がん剤の副作用、しびれがじわじわ

手のしびれでものを落とす、パソコンのキーが打ちづらい

抗がん剤治療に使われていた薬の副作用で、しびれが手足、舌に出てきました。

手のしびれの場合、ものをつかむ力が心もとなく、しっかりと「つかむぞ」と意識しながらつかまないと、落下してしまうのです。文章を書くときも、手からペンがぽろっと落ちたり字が書きづらい。パソコンのキーを打つときも力が入りにくく、手の動きが鈍いためにスピードがやたら遅くなりました。打ち間違いも多かったため、メール作成や書類作成をするときはそれまでの時間の2倍はかかっていたと思います。衣服のボタンも留めにくく、細かい作業が難しくなりました。

足がしびれて、早く歩けない

足にしびれが出てきたときは、地に足が着いた実感がないため、歩行が不安定。階段の昇り降り、段差のある道などは特に注意が必要でした。階段は必ず、手すりをつかみながらゆっくり歩行歩いていました。2度ほど、外出先で転倒したここともあり、本当にゆっくり歩くようになりました。

むくみも出てきて、普段はいていた靴がきつく感じました。もちろんヒールのある靴は全くはけず、もっぱらゆるめのフラットシューズか、スニーカーを着用愛用。せっかちで、早歩きだったことが信じられないくらい、ゆっくり歩いていました。

途中で信号が変わると困るので、信号を渡るときは要注意。また、電車も走り乗っていたのに絶対走らず、次の電車を待つことに。移動時間も、20〜30分くらいは余裕をもって備えるようにしていました。

舌のしびれには歯磨き?

厄介だったのは、舌が常時しびれていたことです。「歯を磨くといい」と聞き、どうしても気になるときは実践歯磨きを。でもすぐにしびれが再開してしまい、炭酸水を飲んだりミント味の飴をなめたりして、何とか気を紛らわせていましたが、結構まいりました。

しびれに加え、味覚障害も。「濃い薄い」の味覚がわからなくなって、料理は目分量ができなくなり、調味料は計量するようにしていました。苦手になる食べ物もあり、私の場合はなぜかポテトサラダが食べられなくなりました。人によっては「ピザがダメだった」ということのも聞きました。舌のしびれ、手足のしびれはいまだに残っています。

なぜ、しびれるのか?

しびれは、末梢(まっしょう)神経障害のひとつで、がんの治療中に多くみられる症状だそうです。がんによる神経の圧迫やがんの治療に使われる薬の副作用などさまざまです。しびれが起こりやすい薬としてシスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ボルテゾミブなどがあるそうです。ちなみに私の薬はドセタキセルでした。詳しくはこちらを参照ください。

国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/support/condition/peripheral_neuropathy.html

緒方 佳美
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検診

乳がん検診には、マンモグラフィと超音波があります

「マンモグラフィ検診」で、乳がん発見に至らず

日本では、40歳以上の女性は2年に一度「マンモグラフィ検診」(乳房エックス線検査)を受けることになっています。

私も、それまで何年も「マンモグラフィ検診」を受けていましたが、「要観察」と指摘されるも、特に何もせず、そのままにしていました。2017年の夏の健診で、なぜか思い立って、「今回は超音波検査で」とお願いしたところ、乳がんが見つかったのです。

乳がん検診には、「マンモグラフィ検診」のほか「超音波検査」もあります。 人によっては、どちらかが向いているということもあるようですからで、マンモグラフィ検診だけで安心せず、超音波検査もやってみた方がいいようです。

●マンモグラフィ検診について
日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g2/q06/

「マンモグラフィ検診」とはどんな検査?

手順としては、装置の前に立ち、撮影台に乳房を乗せます。透明なプラスティック板2枚の間に乳房を挟み、極限まで薄くし圧迫しながら撮影しますから、みじめな気持ちになるだけでなく、痛いに決まっています。左右、方向を変えて2枚ずつ、計4枚撮影。 時間は10〜15分ほどです。

ちなみに、日本の乳がん検診受診率は約4割。先進国の水準に比べると低く、アメリカでは8割を超えているそうです。

●厚生労働省 がん検診受診率
https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_30/outline/low.html

「超音波検査」(エコー)とは?

乳房に超音波を当てあて、内部からの反射波(エコー)を画面に映し出す検査。で、10〜15分ほどで終わります。他の部位を超音波検査するのと同様、ジェルをつけて、調べます。痛みは全くありません。

「超音波検査」は、乳房のしこりが良性か悪性かを判断するのに有効だそうです。ただ、治療の必要のない良性の変化を拾い上げすぎる欠点があるという研究結果もあり、「乳がん死亡率低下に有効かどうか」についてはもう少し検討が必要だそうです。

●日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g2/q06/

緒方 佳美
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