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ネイルクイック店長会にて、
「がん患者のためにサロンができること」ミニセミナー

11月19日、株式会社ノンストレスの店長会にて「がん患者のためにサロンができること」をテーマにお話ししました。対象は、全国のネイルクイックサロンの店長さんたち。がんについての基本知識や副作用についての概要と、実際のお手入れについての2点についてお伝えしました。内容を整理すると、次のようになります。

(1)がんの基本知識

まずは、がんに関する基本的な情報をお伝えしました。概要は、次のような内容です。

2人に1人、毎年100万人が罹患し、3人に1人が亡くなります。しかし、早期発見・早期治療で9割以上が治ります。細胞分裂の際、遺伝子が傷ついてできた「がん細胞」は一日1,000個程度発生しています。そのがん細胞は細胞分裂時発生するため、年齢と共に増加します。がん発生の要因としては、たばこが一番で、その他、細菌やウイルス、過度の飲酒、偏った食事、運動不足などが挙げられます。遺伝要因が関与する場合もあります。

以上の基本中の基本をお伝えした後、次のようこともお話ししました。

今や、「がんは、不治の病でなく慢性疾患」と言われており、がんリスクを減らす健康習慣も広められています。さらに、がん治療は手術、化学療法、放射線治療の3つの柱を中心に行われていますが、副作用で悩む方も多く、ネイリストの皆さんに関係ある治療による外見の変化も現れてきます。

(2)爪の変化など

このセクションでは、特にネイリストの方々に関係ある項目を聞いてもらいました。

治療薬が活発に増殖する細胞に作用するべく、皮膚や爪などの成長の早い細胞を攻撃します。そのため正常な細胞分裂ができずに爪は薄く、欠けやすく、黒く変色したり、手足のしびれ、痛みを感じたりすることもあります。また、皮脂の分泌量が低下し、かなりの乾燥肌となるため、いつも以上に保湿が重要になります。

爪が欠けやすくなることで、服の脱ぎ着で爪がひっかかる、作業で力が入らないなどの日常に困りごとが起きます。また、爪の色が変色することで他人の視線が気になって、外出したくないといった心理的影響も出てくることも事実です。

こうした話を、写真などを交えてお話しました。皆さん、とても興味深い様子で聞き入っていらっしゃいました。

(3)具体的なケアは? ジェルはNG、ポリッシュはOK

最後はケアの方法について、お伝えしました。

手のひら、足の裏は特に乾燥しているので、まずはクリームやオイルで保湿を行います。ただ、痛みを感じる方も多いので、マッサージは力を入れないなどの注意が必要です。爪の保湿に加えて爪切りで切らず、ご自宅でもファイリングで整えたり、マニキュアを塗ってカモフラージュするなどがポイントになります。

また、ジェルネイルは樹脂を削ることになるので、さらにもろくなるだけでなく、長時間の装着で細菌が繁殖する可能性もありますから、使わないようにしてください。その代わり、ポリッシュを使うことをお勧めします。爪に厚みを出し、補強したり、濃い目の色を塗ったり、変色した爪をカバーすることもできます。除光液は週一度程度であれば使えます。男性やお子さんも、肌色やトップコートを塗るだけでも印象が変わります。

「がん患者さんが来店されたら、どう接していいかわからない」という質問をいただき、「自信をもって対応してください」とお答えしました。そして最後に、「普段どおりに寄り添った気持ちで接客することを大事にしていただきたい」とお話しました。

患者の皆さんが少しでも明るい気持ちで治療期間を乗り切れるといいなあと思います。

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