乳がん生活:患者力:頼れるプロ

〈英国ロイヤルフリーホスピタルの現場から〉
(1)The treat, not the treatment

「病人」ではく、背後にある「一人の人間」として対応

2018年より『英国ロイヤルフリーホスピタル』のマッサージセラピーのボランティア活動に参加しております。コロナ禍で2年間、ボランティアは感染拡大を懸念され出禁でした。2022年3月に英国ではワクチン接種も進み、新規感染者も減ってきたので政府がコロナ規制を緩和しました。その発表を受けてロイヤルフリー病院でもボランティアを少しずつ呼び戻す動きがあり、私も呼ばれ、現在英国でボラテイアセラピーの活動をしています。

このロイヤルフリー病院のマッサージセラピー活動の英国らしいところは、必ず病棟にいる患者さんを「病人」ではく、背後にある「一人の人間」としてセラピストが対応していることです。特に患者さんは病気を治すために、医師や看護師のアドバイスを断ることができませんが、マッサージを受ける、受けないかは患者さんの意思次第です。自分で選択をすることができる、このことをチームは大切にしています。

また、セラピーを受けてくださる場合は、患者さんや医師、看護師からのアドバイスをしっかり守り、ニーズに沿うように施術していきます。セラピストは「笑顔」と「アイコンタクト」は決して忘れません。ひたすら謙虚に聞き役に徹します。こうした患者さんに寄り添っている時間は、患者さんの入院生活の楽しみにつながっています。他愛もない話を聞いてもらえる、マッサージで(やさしい、ゆるやかなストロークをつかう)リラックスができる…少なからずとも、患者さんの小さな幸せに繋がっていると私は思いました。

病棟でのマッサージの時間は15分から最大でも30分と決まっています。短い時間ではありますが、それでも患者さんが「在るがまま」でいれる大切な時間です。こういった入院生活での「自分が人生の主人公になれる時間」は、確実に患者力アップに繋がっていると私は思います。

患者さんの複雑な感情にも寄り添うセラピスト

クールで、いかにも仕事ができそうな英国人男性が、結腸直腸の手術で入院されていました。手術の結果、ストーマ(人工肛門)をつけることになり、問題ない感じで入院生活を送っていたそうです。ある日、「夜寝るときに脚が痛い」と申し出があり、医師ならびに看護師の許可をえてマッサージセラピーを受けられました。静かに涙を流して受けられていたそうです。入院生活ではいろいろな感情がかけめぐると思います。家族の訪問もコロナ禍で限られているなか、セラピストはそういった複雑な患者さんの感情にも寄り添います。最後は笑顔で退院され、私たちも嬉しかったです。

このボランティアセラピスと活動は10月まで続きます。日本の病院や介護施設、ホスピスでも導入できたらと思い、日々切磋琢磨をしております。

●写真について
右の男性は、人生をかけてこのマッサージセラピー活動の補完医療チームを立ち上げたキース・ハントです。彼はいつも謙虚で、どんなときも患者さんに寄り添っていました。私は彼が育てたチームに受け入れてもらったからこそ、今があります。キースは2013年、努力と功績認められ、イギリス大英勲章を授与しました。

サポーター

木島陽子
木島陽子
家族の病気をきっかけに補完療法であるアロマテラピーに目覚め、20年間勤めていた航空会社を退職して渡英。英国セラピストの資格取得後、2018年ロイヤルフリーホスピタルのオブサーバーとして採用され、先輩セラピストと共に病棟でのマッサージサーピス活動に参加する。現在も英国ロイヤルフリーホスピタルの補完療法である募金活動に参加し、2022年10月開催のロンドンマラソンにも出走予定。皆様の温かい支援、応援を呼びかけている。
現在は、再びロイヤルフリー病院の補完医療チームに復帰。コロナと共にある病院でのマッサージセラピーの活動に参加し、患者力アップのボランティア活動に参加。看護・介護だけでなく、趣味のマラソンでもフリーランスライターとして活躍中。

プロフィール