乳がん生活:患者力:頼れるプロ

「寝つきが悪い人」と 「夜中にたびたび目が覚める人」が 同じ睡眠薬を使ってはダメな理由

睡眠は人生の隠し味だ。
精神、感情、肉体のどの動き一つとっても、睡眠の質に影響されないものはない。

ショーン・スティーブンソン

睡眠薬の作用を知らずに服用する人たち

私は、これまでに睡眠薬を飲んでいる人に何人も出会ってきました。例えば、疾患で睡眠薬を飲まざるを得ない方、医療・介護・飲食業のお仕事で日夜が逆転してしまう人、などです。しかし、ほとんどの人が服用している睡眠薬の作用を知らないことに驚きました。

以前、私は製薬会社の医薬情報担当者として医師や薬剤師に対して医療用医薬品(特に抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などの睡眠に影響を与える薬剤)の情報を提供していました。今回は、その経験を踏まえ「睡眠」についての話題をご紹介します。

まず眠れない原因を知る

睡眠障害は何種類あると思いますか? 国際基準(米国睡眠医学会による分類ISCD-3)では大きく7つに分類され、合計64種の診断名が記載されています。当たり前ですが、適切な診断と、診断や原因に応じた対処が必要です。ですから、人によってはまず睡眠障害の専門医に診てもらうことも必要かと思われます。

睡眠薬はこれらの診断に対する対処法の一つに過ぎません。睡眠薬に頼らずとも、睡眠メカニズムを理解し、生活習慣や睡眠環境を整えることで睡眠の質と量が改善されることがあります。

「寝つきが悪い人」と「夜中に何度も目が覚める人」が同じ睡眠薬を使ってはダメな理由

一口に「不眠」といっても特徴によって分類され、その特徴に応じた睡眠薬が必要です。睡眠薬のタイプを作用時間別にご紹介します。

●超短時間型・短時間型
特徴:効果持続時間が短い/寝始めに効果がある
対象:なかなか寝つけない人

●中時間型・長時間型
特徴:効果持続時間が長め/短時間型を使い、朝方に目覚めてしまう場合には、この種類に変更されることがある
対象:寝ても途中で目が覚めてしまう人/早朝に目が覚めて寝つけない人など

自分の症状と飲んでいる睡眠薬のタイプは合っていますか?

睡眠薬は作用時間の違い、効果を及ぼす仕組み、持病、他に服用している薬剤、年齢などを考慮して使われなければなりません。服用する人もそれらを正しく理解できると、「この薬は本当に自分に合っているのか?」についての理解が深まり、納得して服用できると思います。

サポーター

江川信吾
江川信吾
1985年生まれ。睡眠プランナー。
製薬会社で医薬情報担当者として、医師や薬剤師に睡眠薬や抗うつ薬などの医療用医薬品の情報を提供。その後、独立し医療や介護の新規事業の立ち上げに伴う市場調査や販路拡大のコンサルタントとして活動。
さらにCPAP(睡眠時無呼吸症候群)療法士、睡眠コンサルタントの資格を取得し、睡眠プランナーとしても活動している。
東北の「果物、野菜、温泉、自然」の魅力にハマっている。

プロフィール