自分らしく

セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウ

だんだん色のなくなる
空き地の草むらから
ぶくぶく
頭をだしている
セイタカアワダチソウ

へやにつれてきて
大きめの花びんに
さしてみたら
テーブルはふくふくと
小春日和

「小春日和」という言葉が好きで使ってみたくて仕方ないのですが、10月のまだ暑い晴天の日には使いづらかったり、さあ使おうとした晩秋には雨が続いたりして、そのうち、冬になってしまうことも多くあります。

しかし、今年は11月の初めからずっと穏やかな晴天が続いています。そんな小春日和のある日、91歳の父が美しい青空のもっと遠くに旅立っていきました。あまりしゃべらず、にこにこと人の話を聞いており、囲碁や読書が大好きだった父にぴったりの季節だと思いました。

最初に父が大病をした13年前、父を励まそうと毎月10の詩を書いて小冊子を作り、実家に郵送し始めたことが、私が詩ときちんと向き合い始めたきっかけでした。父は若いころ小説家を目指していたこともあり、多分とても喜んでくれていたと思います。

ところで、私の夫は小学生のときにテレビで、「小春日和とは、春に使う言葉ではなく、晩秋から冬にかけての暖かく穏やかな天気のこと」と言われているのを見て、早速、国語の時間に「小春日和」という言葉を使って詩を書いたそうです。返された作文用紙に赤鉛筆で「季節に合っていない」と書かれていて、「ああ、先生でも知らないんだ」と思って抗議もしなかったということでした。

「小春日和」と口にするだけで、心がほんのりと暖かくなり、しかし「これからはだんだん寒くなってしまうのかなあ」という少しの寂しさも生まれます。移り変わる季節をいとおしみ、言葉を探して書き出す生活を、また取り戻したいと思う晩秋です。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール