自分らしく
〈洋楽ポップス回顧録〉(11)I Wanna Be with You
ビートルズ、ビーチボーイズから大きく影響をうけたパワー・ポップ
1970年、ハイオ州・クリーヴランドでひとつのバンドが結成されました。そのバンドは1960年代後半にアメリカで巻き起こったブリティッシュ・インヴェイジョンとその中心にいたバンド、ザ・ビートルズやザ・フーなどから大きな影響を受け、数々のヒット曲を全米チャートに送り込んでいます。それが、今回ご紹介するラズベリーズ(The Raspberries)で、2000年代には「元祖パワー・ポップバンド」として大きく取り上げられました。
『I Wanna Be with You』(明日を生きよう)は、1972年にリリースされた同名のセカンドアルバムに収録された曲です。ビートルズの『I Want to Hold Your Hand』を意識して制作したという情報もありますが、ラズベリーズ特有のメロディアスで重々しい曲調が特徴ですね。そして特筆したいのがコーラス。ビートルズだけでなくビーチボーイズからの影響も窺い知れるコーラスを楽しめます。12弦ギターの音色も心地よく、まさに典型的なラズベリーズ・サウンドといえます。
パワー・ポップ隆盛に革新的な影響力をもたらしたエリック・カルメン
『I Wanna Be with You』を初めて耳にしたのは、他の洋楽と同様に深夜放送の番組でした。リードボーカルのエリック・カルメンが歌い上げるメロディーと思い切りのいいリズムにすっかり魅了されて、レコード店でシングル盤を手にしました。隣に並べられていたスティーヴィー・ワンダーの『Superstition』とどちらを購入するかでかなり悩んだことを鮮明に覚えています。当時は中学生で、シングルレコードを同時に2枚も買うなんて暴挙に思えたんですね。
そんな青春時代を演出してくれたラズベリーズの創設者であるエリック・カルメンが今年の3月に亡くなっています。ラズベリーズ解散後、ソロミュージシャンとして『All by My Self』や『Boats Against the Current』といった数々の佳作をリリースしており、パワー・ポップの隆盛に革新的な影響力をもたらしています。
ちなみに彼が逝去した日が、私が参加している素人バンドで『I Wanna Be with You』を初めて披露した4日前だったことも何かしらの縁があったのではないかと思ってしまう今日このころです。
▼I Wanna Be with You 明日を生きよう
https://www.youtube.com/watch?v=FNAsRAT3Q7Q&t=3s
サポーター
- 紙媒体・Webサイトの編集者・ライター。ひたすらロックとヨーロッパサッカーを趣味として湘南で暮らす。じじいバンドでは、ドラムを担当。
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