自分らしく
パラダイムシフト
〈がん〉患者は個人的なパラダイムシフトを経験済み
2019年末に中国武漢で感染が見つかってから、あっという間に世界中に広がった新型コロナウィルス。世界の動きがほとんど止まってしまったような3か月あまり。日本も4月からセミ・ロックダウン状態ですね。今年の初めにこんなことを想定した人はいなかったのではないでしょうか。
「パラダイムシフト」という言葉が飛び交います。以前の常識が常識でなくなる、物事の根本から覆るような変化のことですが、〈がん〉の診断を受けたことのある人は個人的なパラダイムシフトを経験していますね。私もその一人でした。それまで当然のことで、気にも留めなかったことが、ある日突然「当然」ではなくなりますね。なんでもない日常が、すごく大切な、特別なことになったり、近くも遠くも将来のプランが狂ったり。〈がん〉の治療は患者本人の生活も大きく変えることを必要とするし、家族や周りの人たちも影響を受けます。
今度は、私たちが困難な状況にある人たちを支える番
そういう経験をした私たちがん患者は、他の人たちより少しだけ今の変化に強いかもしれません。仕事の仕方が大きく変わったり、今まで普通にしてきたことができなくなったりして、気持ちが揺れている人がたくさんいますが、今度はその経験者である私たちがそういう人たちの気持ちを支えることができるかもしれません。
「仕事を失う」という、ものすごく大変な状況に直面する人も少なくないでしょうが、命があれば何とかやり直すチャンスもあるでしょう。自分にとって本当に大切なもの、もっとも大切なものは何かを〈がん〉患者は気づかされていますから、その体験においてはちょっと先輩かも。
がん患者が世界を救う
自分の力でどうにもならないことは受け入れて、それに対処していくしかないですものね。前向きでいることが免疫力を高めることは知られています。〈がん〉の治療にもポジティブな姿勢が必要ですし、いま世界中が直面している「恐怖」に対処するにもまず前向きでいることが大切ですね。
これまで周りの人から気の毒がられたり、気遣われたりしていた私たちがほかの人たちをいたわり、励ます側に回れるのは嬉しいことです。「がん患者が世界を救う」なーんちゃって。
サポーター
- 青年海外協力隊で、在フィリピンインドシナ難民センターに2年在勤。外資系ブランド日本法人での事業立上や再編など、さまざまなプロジェクトに携わり、2012年から2017年末までビクトリノックスジャパン株式会社代表取締役。2018 年、スイス機械式時計ブランドOrisの日本法人を立上げ。現在、オリスジャパン株式会社代表取締役、在日スイス商工会議所役員・日本プレイワーク協会理事、大学や自治体などでの講演や執筆なども手がける。
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