自分らしく
展望台と映画主題歌

高い建物から見えたもの
初めて訪れる海外の土地では、まず高い建物にのぼり街を見わたすこと。これは、かつて会社の上司にいわれた言葉です。スマホがない時代の「土地勘をつかめ」という営業指南でした。
スペインのバルセロナでは、ガウディ設計の100年を越えても未完成の教会サグラダ・ファミリアにのぼりました。最高塔は170メートルを超えるそうで、エレベーターで最上階にたどり着くと、複数の塔をつなぐ細い空中通路があり、眼下に街が広がります。少し不安定な通路を歩くのは落ち着かないもので、あまり視界に集中できなかったのですが。
パリのエッフェル塔(330メートル)には3つの展望台があり、第1展望台から第2展望台へは階段であがり、エレベーターに乗りついで最上階の展望台に到着します。階段をのぼるのに体力を使うせいか、扇状にひろがるパリ市街の一望は達成感がありました。
ニューヨークでは、かつてワールドトレードセンター(400メートル級110階建てのツインタワー)が摩天楼を代表するランドマークでした。100階近辺に展望階があり、ガラス窓越しにマンハッタンを眺めました。あいにくの雨曇りで視界は不良でしたが、ガラスに密着して眼下を凝視しました。
名作映画に登場する展望台
今でもニューヨークのシンボル、エンパイア・ステート・ビル(381メートル)の展望台は86階にあります。外に出る踊り場は金網で囲まれていますが、360度で眺めるマンハッタンは絶景です。
その場所が登場するのが、ロマンチック・コメディ映画の名作『めぐり逢えたら(Sleepless In Seattle )』(1993年)です。主演のトム・ハンクスとメグ・ライアンのふたりが、やっと出会える感動の舞台がその展望台でした。
その主題歌は『When I Fall in Love』で、オリジナルはスタンダードの名曲です。50年代のドリス・デイやナット・キング・コールなど多くの名唱がありますが、映画でのカヴァー曲(セリーヌ・ディオンとクライヴ・グリフィンのデュエット)は、展望台の記憶とあいまって私にとっての「決定番」です。
営業指南のことはすっかり忘れて、建物の展望に魅せられたわけですが、当時の上司に黙っていたのは言うまでありません。
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