自分らしく

〈洋楽ポップス回顧録〉(16)Show Me the Way

地道な活動が空前の大ヒット作として開花

1976年以降のアメリカでは、”メガヒット・アルバム”と呼ばれるものが連続して生まれ、いわゆる「ロック/ポップスの商業化」が本格的になっていきました。Eaglesの『Hotel California』、Led Zeppelinの『Led Zeppelin Ⅳ』、Elton Johnの『Greatest Hits』、Fleetwood Macの『Rumours』などなど、いずれも有名なアルバムです。

そうした変化する音楽界の先陣を切ったのは、今回ご紹介する『Show Me the Way』が収録されている『Frampton Comes Alive! 』(二枚組ライヴ・アルバム)です。1976年1月6日にリリースされたときはヒットチャートで191位、そこからじわじわと売れ始め4月に入って1位を獲得し、合計10週1位に輝いています。最終的には全米で800万枚以上、世界でも1800万枚近く売れたというモンスター・アルバムになりました。

この世界的なヒットを生んだミュージシャンは、一夜のギャラが当時500ドルに過ぎなかったPeter Frampton(イギリス人シンガー/ギタリスト)。1950年生まれの彼はThe HerdやHumble Pieを経て、22歳でソロ・デビューします。しかし、ほとんど鳴かず飛ばずの状態が続き、1974年から草の根的に全米ツアーに取り組んでいきます。その地道な活動が空前の大ヒット作として実を結んだということでしょう。

楽曲の魅力を浮き彫りにするメロディとアレンジ

『Show Me the Way』はこのアルバムからのシングル・カットで、1976年に全米6位、全英10位を記録したチャーミングなギター・ポップです。当時のFENでは、毎日のようにこの曲が流れていたそうです。

Robert J. Mayoをセカンド・ギタリストに迎えたこのライヴ・ヴァージョンは、やわらかなコード・ストロークを中心として演奏されています。こうしたシンプルなアレンジは楽曲そのものを浮き彫りにし、メロディ・ラインの良さが強調されています。サビのフレーズにはつい口ずさんでしまうような魅力が詰まっていて、ポップスがまだ柔らかだった時代を思わせるような気持ちになります。

曲全体の構成がくっきりしていることも、売れた大きな原因になっています。まさにPeter Framptonのソングライターとしての才能を証明する名曲だと思われます。「懐メロ」なんて言葉ですますには惜しい、何度でも聴きたくなる名ポップ・ナンバーでしょう。

▼Show Me the Way
https://music.youtube.com/watch?v=UAynwzutk0A

サポーター

重森 光
重森 光
紙媒体・Webサイトの編集者・ライター。ひたすらロックとヨーロッパサッカーを趣味として湘南で暮らす。じじいバンドでは、ドラムを担当。

プロフィール