自分らしく

〈洋楽ポップス回顧録〉(20)Many Classic Moments

まさに夏の海で聴きたい名曲

日本のサーフィンブームは、1960年代後半から70年代前半までの第一期、1977年から1980年代前半にかけての第二期に分けられます。後者はアメリカ西海岸のライフスタイルを提唱する雑誌『ポパイ』が火付け役となり、社会現象となったほどの爆発的なブームとして渦巻きました。

この時期、サーフィンを取り巻く文化として「サーフロック」と呼ばれる音楽が若者たちの人気を得ていました。洋楽だとKalapana、Pablo Cruise、Cecilio & Kapono、邦楽では高中正義や山下達郎といった曲がヘビーローテーションで流されていました。今でいうと、John MayerやDonovan Frankenreiter、Jack Johnson、Jason Mrazといった面々ですかね。

今回、ご紹介するのは1978年にリリースされたKalapanaの『Many Classic Moments』。まさに第二期サーフィンブームの真っ只中に登場した名曲です。

洗練されたサウンドと哀愁のメロディが織りなす夏の音楽

Kalapanaはハワイ出身のプレーヤーで組まれたバンドですが、音楽性はロコ・サウンドと都会的なAORが顕在する世界。なかにはFusionともいえるインストも収録されたアルバムもあり、ハワイアンよりアメリカの西海岸的な要素が強いバンドです。『Many Classic Moments』が収録されている同名のアルバムには、ハワイを感じさせ郷愁を誘う曲のほか、ソウルフルな歌声と疾走感のある曲も収録されていて、自然に耳を潤すような音の世界が広がるような感覚が生まれます。

このアルバムは、Kalapanaの4thアルバムになりますが、2ndアルバム製作直後に脱退した人気のヴォーカル、マッキー・フェアリーは不在です。とはいえ今作も都会的で洗練されたサウンドに哀愁のメロディがここ日本でもサーファーたちに受けヒットしていました。スティール・ギターが心地よいカントリー・ロックからAOR風、あるいはフィリー・ソウル風の曲まで幅広く聴かせる秀逸な一枚だといえるでしょう。

▼Many Classic Moments
https://music.youtube.com/watch?v=eMMRiLoTQkg

サポーター

重森 光
重森 光
紙媒体・Webサイトの編集者・ライター。ひたすらロックとヨーロッパサッカーを趣味として湘南で暮らす。じじいバンドでは、ドラムを担当。

プロフィール