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〈絵本は心のお薬〉(13)『ハナはへびがすき』

絵本は子どものために書かれたものですが、大人にもいいものです。心に響いたり、深い気づきがあったり、忘れていた思い出がよみがえったり…。大人の心に効く絵本を、絵本専門士で絵本セラピストの大江美保子がお届けします。

へびが大好きなハナ。
でも、周りの皆んなには分かってもらえない。
そんな女の子のお話。

ハナはへびが大好き。コマルハナバチも、カエルもとかげも大好き。でも、周りの皆んなには「気持ち悪い」とか「嫌い」と言われます。分かってもらおうといろいろ努力するけれど、やっぱりわかってもらえません。

すっかり落ち込んだハナは、好きな物のことは秘密にしようと決心します。そんなハナのところへ、新しい友だちのハルがやってきます。ハルはハナの好きなものを見て、「私も好き」と言ってくれました。それどころか、もっともっと好きなところを教えてくれるのです。

自分が好きな物を、「私も好き」って言ってもらえるたら本当に嬉しい。一緒に楽しめたら、 二倍楽しい。そんなことを感じる絵本です。

自分の大好きなものを「嫌い」と言われたら、それは、それはショックです。自分までもが「嫌い」と言われたような気持ちになります。自分の好きなものを拒否されたら、自分までもが拒否されたような気持ちになります。

好き嫌いの尺は、価値観に直結します。価値観はすなわち、自分のアイデンティティにもなります。だから、なのでしょうね。「自分の好き」を否定されると、「自分自身」も否定されたような悲しい気持ちになります。だからこそ、「自分の好き」は自分が大切に守りたいですね。

効能

自分の好きを大切にしよう。自分の好きを他人に押しつけるでもなく、諦めるのでもなく、ただただ、大切にしよう。それは、すなわち、自分を大切にすることになるのだから。

そうしたら、「自分の好き」を分かってくれる人が現れるかもしれない。「自分」を分かってくれる人があらわれるかもしれない。そんな勇気と決意と夢を与えてくれる絵本です。

▼ハナはへびがすき
作:蟹江 杏
発売:福音館書店
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=6939

サポーター

大江美保子
大江美保子
絵本セラピスト®︎/心理カウンセラー
プログラマー、シナリオライターなどを経て、3人の子育て中に絵本の読み聞かせのボランティアを始める。
2015年6月、乳がんの宣告を受け絶望のどん底に突き落とされる。そのとき、何気なく手にした一冊の絵本『でこちゃん』(つちだのぶこ作/絵 PHP出版)から深い「気づき」を受ける。絵本が大人に与える力に感銘し、その体験から『絵本セラピスト®️』となり活動開始。
病院や患者の会、子育てサロン、カフェにて大人の人に絵本を届けるセミナーを毎月開催。
エッセー風の絵本紹介ブログ、メルマガを毎日更新している。

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