自分らしく

〈絵本は心のお薬〉(15)『ストライプ たいへん! しまもようになっちゃった』

絵本は子どものために書かれたものですが、大人にもいいものです。心に響いたり、深い気づきがあったり、忘れていた思い出がよみがえったり…。大人の心に効く絵本を、絵本専門士で絵本セラピストの大江美保子がお届けします。

自分の気持ちを大切にできるのは自分だけ

カミラ・クリームはリラ豆が大好きな女の子。でも、絶対に食べない。なぜなら、学校のみんなはリラ豆が嫌いだから…。

カミラは、他の人の目ばかりが気になっています。「みんなと同じ」でいたいと思っています。だから、お洋服を選ぶときも「みんなは、どう思うかな?」が基準になっています。今朝も、取っ替え引っ替え洋服を選んでいると、なんと、突然、カミラの体が全身ストライプになってしまうのです。

大変!!!!!! 学校を休んでお医者さんに見てもらうのですが、治りません。それどころか、アメリカ国旗を前にすると星条旗模様になるし、誰かが「紫の水玉!」って叫ぶと紫の水玉になってしまいます。専門医、科学者、心理学、植物学者、超能力者などに診てもらっても酷くなるばかり…テレビでも放送されてしまい、大騒ぎとなってしまいます

そんななか、一人のお婆さんがやってきます。「お困りのようですね」と言いながら「あること」をすると、カミラの症状はあっという間に治ってしまいます。それどころかカミラ考え方や行動も変わり、それ以降、ストライプ症状は起こらなくなりました。

さてさて…お婆さんがとった「あること」ってなんでしょうね? 気になる方は、是非是非、絵本を手にしてくださいね

効能

やりたい! 食べたい! 寝転びたい! 叫びたい! 怒りたい! Etc…
こんなことを思っても、そのまま人の目も気にせず本能の赴くまま、行動してしまうと「空気を読めない人」と言われてしまいます。社会生活ができなくなる可能性もあります。人間社会を営んでいる以上、我慢も必要です。

自分の素直な気持ちにも蓋をするようになってしまったら? 人の目が、自分の行動の全ての基準になってしまったら? 自分が自分でなくなってしまったカミラのストライプ症状は、心身症の一種かもしれないです。

そうなってしまう前に、ちょっと立ち止まる事が大切です。自分を見失っていませんか? 自分の気持ちを押し殺していませんか? 自分の気持ちを大切にしてあげられるのは、自分しかいないことは忘れないでいたい。

そんなことを思わせる効能がある絵本です。


文と絵:デヴィッド・シャノン
訳:清水奈緒子
訳:山口文生
出版社:らんか社
https://www.facebook.com/rankasha.co.ltd

サポーター

大江美保子
大江美保子
絵本セラピスト®︎/心理カウンセラー
プログラマー、シナリオライターなどを経て、3人の子育て中に絵本の読み聞かせのボランティアを始める。
2015年6月、乳がんの宣告を受け絶望のどん底に突き落とされる。そのとき、何気なく手にした一冊の絵本『でこちゃん』(つちだのぶこ作/絵 PHP出版)から深い「気づき」を受ける。絵本が大人に与える力に感銘し、その体験から『絵本セラピスト®️』となり活動開始。
病院や患者の会、子育てサロン、カフェにて大人の人に絵本を届けるセミナーを毎月開催。
エッセー風の絵本紹介ブログ、メルマガを毎日更新している。

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