自分らしく
コンドルより白鳥になりたい

フォルクローレの定番
ニューヨークに住んでいた90年代によく見かけたのが、フォルクローレのバンドによる路上演奏でした。フォルクローレは南米アンデス地方の民族音楽で、木製のたて笛ケーナや小型の弦楽器チャランゴなど伝統的な楽器の合奏が特徴です。
そのとき必ず耳にしたのが『コンドルは飛んで行く(El Cóndor Pasa)』でした。サイモン&ガーファンクル(S&G)による世界的ヒット(1970年)で、フォルクローレの「定番」になりました。
インディオの英雄
当初、その曲はペルーの民謡とされていましたが、今ではペルーの作曲家ダニエル・アロミア・ロブレスという人が作曲したことが知られています。伝承された旋律をもとに、20世紀初めに、あるスペイン式歌劇のために作られた曲といわれています。
その歌劇は、スペインが南米を支配していた時代、18世紀後半に起きたアンデスの先住民による反乱運動がテーマでした。その反乱の指導者トゥパク・アマルは、処刑により最後をとげますが、インディオの英雄と崇められました。
アマルはインカ皇帝の末裔といわれています。16世紀に滅びたインカ帝国最後の皇帝の生まれ変わりは「コンドル」だという伝説もあります。『コンドルは飛んで行く』は、インディオの勇士をたたえた曲なのでしょう。
一方で、S&Gが歌うオリジナルの歌詞(ポール・サイモン作詞)は、希望と自由の讃歌のようです。「カタツムリよりすずめになりたい」「釘よりハンマーになりたい」という一節は印象的です。
その歌詞にコンドルは出てきませんが、自由に飛びまわる「白鳥」が歌われます。コンドルより白鳥になりたい、という真意がこめられているのかもしれません。
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