自分らしく

スタート

スタート

今年初めて
柏葉アジサイのスタートを見つけた
どの花もすっとして
薄緑のロケットのように
空を目指して立ち上がっていた

次の日には
ソフトクリームのようにふくらみ
夏の日に
高く高く盛り付けたみたいに
ひゅーんと傾きはじめて

その次の日からは
四方八方斜め下に向かう
おなじみの姿になり
雨が降ればほとんど逆さになって
オフホワイトに咲いている

12年間勤めた今の職場を来春退職することになり、この1年は通勤風景の移り変わりをよく楽しんでおこうと思っています。以前は、季節を4つに区切り、ああ、春が来た、夏が来たと、アバウトに意識していましたが、今は、もっとたくさんのスタートを味わっています。

先月は、夜の自転車に乗ったときに、走っても走っても指が冷たくならないし、走っても走っても汗をかかない、最高に快適な、そして多分とても短い期間のスタートに気づくことができてまずラッキー。

先週は、琉球朝顔のスタート。しっかりと茂った葉の上にぱっと大きな濃い青い花が開いていました。朝だけでなく昼も夕方も咲いていて、夏だけでなく秋までずっと咲いている不思議な朝顔。いつだったかそこに「琉球朝顔」という札が下がり、名前を知ったことを思い出します。

数日前、関東地方の梅雨入りが発表されたのですが、まだ雨は降ったりやんだり晴れの日も意外にあります。念のため防水が効いている運動靴を履いています。そのうち、一日中強い雨が降るという予報が出たら、長靴スタートとなります。

お気に入りだった通勤用リュックが相当くたびれてきていたところに、同じデザインの新色グレージュが発売されたという情報を得たので、迷わず買いに行きました。そのスタートの日は、行きも帰りも肩ベルトの革のにおいが漂っていて気分が高まりました。

昨日は、黄色いカンナのスタート。例年、うだるような残暑のころに、とろりと咲いている様子を感心して眺めていたものですが、今年は、まだ爽やかな空気のなか蛍光色のように鮮やかな最初の一輪を目撃できました。

これから、セミの鳴き声スタート、入道雲スタート、他の新しいもののスタートも「見逃さずにいこう」と張り切っています。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

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