自分らしく

ハス

ハス

大地から照り返す熱に
体がゆらりとよろめくような
猛暑日だというのに

水の上にすっくと
立ち上がるハスの花

太陽の光と熱を
真上から受けとめても
まだまだ涼しい
なんて言いたそうな顔で

ある日、グランドの脇に見上げるような高さでハスの花が咲きました。いつからそこに置かれているのか、全く気づかなかったのですが、一抱えもあるような大きな鉢に水が張られていて、背丈ほどもある葉のなかから顔を出しているのです。

ハスの花は上野の不忍池や高松の栗林公園の池で見ましたが、群生している様子を上から眺めるものであって、こんなに近くでじっくり見上げたのは初めてでした。咲いている花の他に美しい筆のように立ち上がっているつぼみが3つあり、毎日楽しみにそこを通りました。

花は、一度咲いて夕暮れには柔らかくつぼんでいて、次の朝にもまたひらいていました。そしてその夕方に散り始めました。調べてみると、3日から4日くらい開いたり閉じたりして散っていくそうです。残りのつぼみも、日を変えて主役になって順々に散っていきました。

いつも構内の花壇を作ってくれているNさんにたずねてみると、「近所のお寺の池にハスが咲くんだけれど、カエルとか亀が根っこを食べちゃってどんどん枯れてしまうもんだから、仕方なく池から出して鉢で育てることにしたんだって。たくさん鉢が並んでいるからひとつもらってきたんだよ」とのこと。

花びらが散ってしまった後には、水やりに使うじょうろの口のようなものがこれもまた空を見上げて残っていて、猛暑の数日間を楽しめたお寺からのプレゼントでした。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール