自分らしく
安眠はキース・ジャレットで

信じがたい即興演奏
演奏はすべてピアノ・ソロで、CDは6枚組み、総再生時間は6時間半を超えるので、一気に聴くのはちょっと覚悟がいるかもしれません。その作品は、ジャズ・ピアノ奏者キース・ジャレットによる1976年の来日公演を収録したライブ盤『サンベア・コンサート』です。
ジャレットは、ジャズはもちろんクラシックも手がける希代の音楽家です。特に、ひとりでピアノを即興演奏することにかけては広く定評があります。なかでも『ケルン・コンサート』(1975年)は人気と評価の高い代表作で、発売から50年にせまる今でもベストセラーの名盤です。
その名盤の発売からおよそ1年後に行われたのが『サンベア・コンサート』でした。CDには国内5都市にわたる公演の、1曲あたり平均約40分におよぶソロ演奏の数々が記録されています。
ジャレットは譜面を用意せず、文字どおり即興でピアノを奏でていました。その場で生みだしたとは信じがたい、時に美しく時に躍動的な旋律の連続には圧倒されるばかりです。
安眠に欠かせない愛聴盤
バロック時代の偉大な作曲家ヨハン・セバスティアン・バッハはオルガンの即興演奏の名手だったとも伝えられています。演奏をしていた教会では、礼拝の前後に長々と即興を続けたこともあったとか。譜面によらない即興演奏こそ、音楽の原点といえるかもしれません。
ジャレットは、6年前に病のため音楽活動を休止しています。それまでの精力的なソロ即興演奏は20作品、CDにして35枚を下らない録音を残しています。
『サンベア・コンサート』は私とって眠りにつくときに聴く愛聴盤です。イヤホンで聴きながら寝床にはいりますが、冒頭の数十分で眠りに落ちてしまいます。最後まで聴き通せないわけですが、安眠には欠かせない音楽になっています。
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