自分らしく
2月の木立

2月の木立
プラタナス
しろじろと光った
太い幹から
がしっと曲げた肘
冷たい空気に突っ立つ
沈黙する恐竜の骨
イチョウ
ごつごつしたにぎりこぶしを
四方八方に向けていて
そこからは細い枝を
多少しなやかに
差し出している
横道に入ると やなぎ
なんとその枝先では
冬がほころびていて
うすみどりの葉が
ほやほやと
顔を見せている
2月のキリッとした寒さのなかで、葉がすっかり落ちた木々の姿には潔さを感じます。春から初夏に若い緑の成長を楽しんだあと、夏は青々と力強く茂って、秋は街に彩りを添えて、そして木枯らしが吹くたびに葉を落として今があるという、すきっとした表情。
セピア色のワントーンで立っているその幹は、枯れてしまっているわけではないのですから、地下から吸い上げている水が少しずつ昇っているのでしょうか。こんなに背が高くて、いったいどのくらいの根が地中で踏ん張っているのでしょうか。どの木もちょっとやそっとでは動く様子もなく、どれだけ体幹がしっかりしているのでしょうか。
最近、自分自身の体幹の危うさを感じることが多くなり、いろいろとその鍛え方や腰痛の予防法について研究(?)をしています。毎朝のルーティンでストレッチと筋トレをごく短時間行い、月一回はじっくりとストレッチボールを使うオンライン教室でほぐします。まあまあに効果が上がっていると思いきや、先日小学校に出向いて、元気な1年生とダンスのワークショップを3クラス分もしたら、あっという間に腰が痛くなってしまいました。
日本女子体育大学の基礎体力研究所初代所長の山川純先生が、研究所の記念フォーラムで「年齢を重ねてくるとこの体力を維持するためには、トレーニングの負荷を年々上げていかなくてはならない」と、しゃきっとした立ち姿でおっしゃっていました(講演当時90歳)。だんだん楽にしていくのではなく「負荷を上げる」という言葉に驚くとともに、「私もさぼらず負荷を上げていけば、体幹の力を保てるのかも」と励まされたことでした。
樹齢を重ねても、雨にも風にも負けずに立っている冬の木々と比較などしたら笑われるような気もしますが、「諦めずに日々の研究と実践(トレーニング)をやっていこうか」などと思っている2月です。
サポーター

- 詩人。
本業は体育大学・ダンス学科教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。
プロフィール