自分らしく
パイプオルガンの荘厳な響き
ノートルダム大聖堂の大火災
フランス・パリの市内、セーヌ川中洲のシテ島に『ノートルダム大聖堂』があります。2019年4月15日、世界遺産でもある大聖堂が大火に見舞われました。
その2か月後、私はパリを訪れる機会があり大聖堂に向かいました。大聖堂は閉鎖されすでに再建工事が始まっていましたが、観光客がたたずみ変わり果てた建物を見上げていたのが印象的でした。
火災により、尖塔や屋根が崩れ落ちるなど大きな被害を残しましたが、彫刻や絵画などの芸術品は運び出されて焼失を逃れました。また多くの人々を安堵させたのは、堂内のパイプオルガンがほぼ無傷で難を逃れたことでした。
『ノートルダム大聖堂』は創建から850年を超える歴史的建造物です。8000本のパイプから成るという大オルガンは改修を重ねて18世紀に完成した形になったそうです。
平穏な気持ちになれるパイプオルガン
パイプオルガンは教会という建築の一部であり、ミサに不可欠な鍵盤楽器です。多彩で荘厳な響きは、大編成によるオーケストラ音楽を凌駕します。
ノートルダム大聖堂のパイプオルガン演奏は多くのレコードやCDに残されていて、教会を訪れなくても聴くことができます。
大聖堂のオルガニストを務めたオリヴィエ・ラトリーが、バッハ曲を演奏した『バッハ・トゥ・ザ・フューチャー』というCD作品を発表しています。
パイプオルガン曲の代名詞といえるバッハの「トッカータとフーガ」や「パッサカリアとフーガ」などの名曲が、大聖堂のパイプオルガンで演奏されています。奇しくも、その録音は火災の数ヶ月前に行われた貴重な記録です。
パイプオルガンの重厚な演奏は、感動的な音楽体験です。壮大な音像に包みこまれると、平穏な気持ちになれるのも不思議な魅力です。
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