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「ニューヨーク医療視察ツアー」に参加して(4)
2019年9月に参加した「ニューヨーク医療視察ツアー」。今回は、最後のレポートをご紹介します.
ACS(American Cancer Society)のHope Lodgeを訪ねて
非営利団体「ACS」は、20世紀初頭、10人のドクターを含む15人から始まりました。がん患者さんが自宅を遠く離れた病院で治療するときに、家族や患者の支援者を含めて滞在場所を提供している宿泊施設です。全米で34か所あり、NYのこの宿泊施設は2007年に開設され、60の部屋が用意されています。
個室にはバスルームが併設され、キッチンや居心地のよさそうなリビングルームなど、まるで自宅にいるときのようにくつろげそうな雰囲気に溢れていました。提携企業から派遣された社員たちが、クッキングスクールを開催したり、イベントもいつも行われているそうです。「ホテルではなく、患者にとって居心地のよい宿泊施設が病院にそばにあったらなんと素晴らしいことか」と、患者ありきの環境が羨ましく思いました。
今回のツアー主催団体「SHARE」について
女性のための女性による非営利団体「SHARE」は、1976年から乳がんや子宮がんを罹患した女性の支援活動を始めています。それは、英語以外の母国語を話す方へのホットライン(英語とスペイン語は無料電話)や病院へ同行しての支援、情報提供、啓発プログラム、ナビゲーションサポート、ピアサポートといった精力的な活動。こうした団体がNYにまだ2団体しかなかった時代に、ランチ会やコミュニティでの集まりなどからスタートし、現在は初日のファンドレイジングパーティや製薬会社をはじめとする多彩な企業、個人から寄付を集めて活動を広げ、訓練を受けて、ワシントンでロビー活動を展開するまでになったそうです。
今回の医療視察ツアーを通じて、日米の患者を取り巻く環境やサポート体制、医療従事者の意識や姿勢の違いを実感しました。医療保険の違いもあるので単純に比較することは容易ではありませんが、自然に普通に困っている人に手を差し伸べることは、今すぐにでもできることだと思っています。
自分に何ができるのか、何をすべきか…「ニューヨーク医療視察ツアー」はこの基本的なことを改めて考えるいい機会となりました。