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「ニューヨーク医療視察ツアー」に参加して(3)

2019年9月に参加した「ニューヨーク医療視察ツアー」。今回は、その3回目のレポートをご紹介します。

ニューヨークの郊外、カルヴァリー緩和ケア病院

ホテルからバスで小一時間も走り、サウスブロンクスのカルヴァリー緩和ケア病院に向かいます。キリストが十字架刑に処されたエルサレムの「ゴルゴダの丘」という名前(英語名カルヴァリー)の病院です。

創業者のドクターも交え、お話を伺いました。起源はフランスで修道女たちが120年前に始めた救済活動から。その当時、病を患った女性は家を追い出され、道に捨てられていました。それを修道女たちが「せめてあたたかい食事と寝る場所の提供を」と助けたのが始まりです。NYに場所を移し緩和ケア専門病院として20年以上社会に貢献してきた歴史と、寄り添う気持ちが溢れた病院でした。

置き去りにしない、見捨てない

「病気を治すのではない、患者と家族の痛みや苦しみを軽減する」「Patient is a gift and deserved to be treated with dignity and love」などの言葉が繰り返し話され、頭に残りました。修道女の慈善活動が始まりで宗教的な側面もあるとは言え、高齢社会に向けて病院の役目も変化してきていることを実感。亡くなる直前まで陶芸教室やゲームなどさまざまなイベントに参加し、バースデーのお祝いをしてもらい、笑顔で亡くなっていくと聞き、驚くばかりでした。

「尊厳をもって死ぬとは?」という問いかけに、「置き去りにしないこと。見捨てないこと」と教わりました。「忙しいことを言い訳にせず、ハチミツが口からこぼれるようにやさしく話すことが大事である」と。明日にも亡くなるかもしれない方を前に、私にそんな穏やかな、優しい言葉が果たしてかけられるのか、深く考えさせられました。

「緩和ケアの発祥の地」として有名なこの病院では、「鎮痛にとどまらない、患者の家族も含んだ精神的なケアまでを目指す」というポリシーに共鳴した世界中のドクターたちが研修を受けているそうです。多くの医療従事者の方々にも体験していただきたい、得難い時間となりました。

カルヴァリー緩和ケア病院