自分らしく

〈洋楽ポップス回顧録〉(3)You’re So Vain

ついつい聞き入ってしまうノスタルジックな旋律とミディアムテンポ

今回ご紹介するのは、カーリー・サイモンが発表した『You’re So Vain』です。これはゴールドディスク・プラチナディスクに認定された彼女のサードアルバム『No Secrets』から第一弾シングルとしてリリースされた曲で、世界中で大ヒットしました。

ベースの怪しいフレーズから始まるのが、この曲の第一の特長です。最初に聴いたときは「いったい何が始まるのか?」とドギマギしましたが、マラカス、アコギ、ピアノとイントロが続くうちにがっちり聞き耳を立ててしまったような記憶があります。そして、彼女特有のハスキーな声で旋律が奏でられたときには完全に曲の世界に引き込まれていました。

独自の世界観を確立した魅力あふれる出世作

サードアルバム『No Secrets』をリリースするまでのカーリー・サイモンは、当時のキャロル・キングやジョニ・ミッチェルと近い雰囲気を醸し出していました。実際、その二人に似た曲もあって、「彼女たちのフォロワーというイメージが焼き付いてしまった」という感が払拭できない部分があったようです。

そんな高く厳しい壁を打破したのが、このサードアルバムでした。ことにシングルカットされた『うつろな愛』は、キャロル・キングやジョニ・ミッチェルが持ち合わせていない独自の世界観を全面に打ち出した出世作となったわけです。

大物シンガーとのコーラスは、まさに情感あふれるデュオ

この曲のプロデュースを務めたのは、二ルソンの『Without You』、リンゴ・スターの『Photograph』なども担当したリチャード・ペリーという人物でした。その関連もあって、『You’re So Vain』の録音は二ルソンがコーラスとして参加して始まりました。

コーラス録りをしていたとき、カーリーに電話をかけてきた人物がいました。そして彼女がその人物を呼んで三人で歌ってみましたが、二ルソンが「君たち二人の声は本当によく合っているから、二人きりでやるべきだ」と言って辞退したそうです。その人物こそが、あのミック・ジャガーなのです。改めて聴いてみると、二人のコーラス部分はまさに情感あふれるデュオになっているような気がします。

因みに『You’re So Vain』は1972年にリリースされていて、ラジオの深夜放送でよく流されていました。とくに落合恵子さんがパーソナリティーを担当していた番組で、熱心に勧めていたのをなぜかよく覚えています。かなりこの曲がお気に入りになったのではないでしょうか。

▼You’re So Vain
https://www.youtube.com/watch?v=lT7I40wWYAQ

サポーター

重森 光
重森 光
紙媒体・Webサイトの編集者・ライター。ひたすらロックとヨーロッパサッカーを趣味として湘南で暮らす。じじいバンドでは、ドラムを担当。

プロフィール