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〈近畿圏枝毛線巡礼〉(1)能勢電鉄(山下~妙見口)

かつての本線は妙見山への参詣電車

北摂を走る私鉄『能勢電鉄』は、阪急電鉄『宝塚線』の『川西能勢口駅』を起点に『妙見口駅』へ向かう『妙見線』と、途中の『山下駅』から分かれて『日生中央駅』へ向かう『日生線』の2線を運行しています。

能勢電鉄の始まりは、北極星(北辰)信仰で有名な『能勢妙見山』への参拝客を運ぶ、いわゆる参詣電車だったのですが、1960年代以降、沿線が大阪のベッドタウンとして開発されるのに伴ってしだいに乗客が増え、ほぼ全線を作り直す大工事によって通勤路線に生まれ変わりました。現在は川西能勢口駅から『日生ニュータウン』がある日生中央駅へ向かうルートがメインとなり、かつての本線だった妙見口方面は枝毛線になってしまいました。

山下駅で、お客さんを待っていた2輛編成の電車に乗り換えましょう。駅を出発すると大きく右へカーブし、山のなかへと分け入っていきます。それまでの住宅地を走る車窓とは全く異なる風景に、めまいを感じるほどのギャップを感じます。途中駅3駅を過ぎるといよいよ緑が濃くなり、山によって行く手を遮られるように感じられるところが、終点の妙見口駅です。駅を出ると、もうそこは深い山のなか。大阪梅田から40分ほどで、ちょっとした旅行気分が味わえるおトクな枝毛線です。

能勢妙見山は深い山のなか

能勢妙見山は正式名称を『無漏山眞如寺境外仏堂能勢妙見山』といいます。日蓮宗の霊場で北極星信仰の聖地です。2023年にケーブルカーとリフトが廃止されてしまったので、お参りするにはお寺に電話して送迎バスを予約する必要があります。ただし、送迎バスはご祈祷もしくはご回向の方のみの利用に限られています。

山の上にあるお寺は、崖に沿った狭い場所にいくつかの建物が肩を寄せ合うように建てられています。読経が始まると、大阪市内よりかなり気温が低いことも相まって境内には森厳な雰囲気が漂います。「聖地」にいることが、心にすんなりと沁みとおります。

おみやげは、妙見口駅前にある『かめたに本店』で買った『きびだんご』です。上品な甘さで、あっという間に3本を食べてしまいました。

サポーター

老田道夫
老田道夫
フリーの編集/ライター。
主なフィールドはバレエ、鉄道、鉄道模型、70年代プログレッシヴ・ロック、古代史など。
近年は自費出版原稿のリライト、編集を主に手がける。好きな言葉は「棚からぼたもち」。

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