自分らしく

〈近畿圏枝毛線巡礼〉(10)南海電鉄 汐見橋線(高野線)

もともとは高野山へ向かう本線の一部

和歌山から来た『南海本線』と高野山から来た南海『高野線』が出会う『岸里玉出(きしのさとたまで)駅』。この駅を地図で俯瞰すると、高野線と今回のテーマである『汐見橋線』はまったく別の路線になっていますが、定規を使ってこの2つの路線を直線で結べば、うまくつながることがわかります。それもそのはず、高野線と汐見橋線はもともと1本の路線だったのです。

南海高野線は1908年設立の高野鉄道によって建設されましたが、当時の大阪側のターミナルが汐見橋駅でした。高野線はその後南海本線に乗り入れて難波へ直通することになり、汐見橋駅のターミナルとしての地位は低下します。さらに岸里玉出駅を高架化することになり、1985年ついに路線を分断、岸里玉出駅と汐見橋の間を往復するだけの枝毛線になってしまいました。なお汐見橋線は通称で、正式な名称は今でも高野線です。

岸里玉出駅の専用ホームから、2両編成の短い電車に乗って汐見橋駅を目指しましょう。枝毛線とはいっても、この路線が走るのは都会のど真ん中。車窓から見えるのは高速道路やオフィスビルばかりです。都会の電車とは思えぬゆったりした速度で複線の線路を10分ほど走ると、終点の汐見橋駅に到着です。

汐見橋駅は長い間、隣接する地下鉄『千日前線』の『桜川駅』とだけ接続していましたが、2009年に阪神電鉄『なんば線』の『桜川駅』が開業、利便性がさらに向上しました。現在は30分に1本しか電車が走らない、まさに「都会のローカル線」ですが、汐見橋駅の外壁にアートが描かれたり、駅舎内部がレトロ調にリニューアルされる(写真)など、いろいろな活性化策が試されています。休日に、都会でローカル線を楽しむショート・トリップはいかがでしょうか。

今回は参拝もお土産もなし

汐見橋駅周辺の神社仏閣を探したのですが、参拝させていただけるような場所は見当たりませんでした。ですので、今回はお参りはなしです。さらに汐見橋駅の周辺はビルばっかり。食べ物屋さんはあるのですが、お土産になりそうなお菓子を買える店は見当たりませんでした。残念ながら、お土産もなしです。ああ、淋しい。

サポーター

老田道夫
老田道夫
フリーの編集/ライター。
主なフィールドはバレエ、鉄道、鉄道模型、70年代プログレッシヴ・ロック、古代史など。
近年は自費出版原稿のリライト、編集を主に手がける。好きな言葉は「棚からぼたもち」。

プロフィール