自分らしく

リュック

リュック

通勤カバンをリュックにした

電車に乗る
前に回したリュックのお尻を
両手で支えると思い出す
抱っこひもで眠るこどもの重さ
ほほを少し近づけてみる

ドアが開いて電車を降りる
リュックを後ろに背負い直す
思い出も一緒に
背中に回して
両手を振って歩き出す

通勤カバンをリュックにしてから何年か経ちました。百貨店やセレクトショップなどでリュックを見かけるとついつい引き寄せられ、いろいろなタイプを試してきました。おしゃれに小さめに背負いたい気持ちはあるのですが、持ち歩く荷物がかなりあるため、今の私には十分な大きさ、ポケットの位置や入れやすさ、移動しながらの開けやすさ、中身の探しやすさなどが最重要項目でした。

今年の夏が始まるころに、とてもいいリュックに巡り合いました。あるメーカーが、ブラインドサッカーチームと共に開発したというバックパックです。開発者は視覚障害のある選手たちに具体的な意見を聞くことで「自分たちのやったことのないことに取り組むことになり、やったことのないバッグができた」と言っています。また、選手も「別に視覚に障害のない人でもおしゃれに使えるカバン、だけども見えにくい方でも使いやすいですよ、というのがポイントであると、皆さんにとっても良いカバンと思ってもらえるんじゃないかな」と言っています。

リュックの底にはトンネルのように両側がオープンな筒状のデザインが施されていて、背負ったまま手探りで白杖を引き出せるようになっています。私は日傘や雨傘を入れたり、ハンドタオルを入れたりしています。右と左それぞれの側面から手を差し込める、間口が大きいジッパー付きポケットがあります。ポケットのなかには鍵や定期入れが迷子にならないためのリングが下がっています。メインの荷室には十分にいろいろな大きさのポケットが用意され、いつもなかをかき回して焦って捜し物をする私には嬉しい限り。

もちろん全てのジッパーには大きめの輪っかがついているので、とても開けやすいのです。背負ったまま手探りで定期を出したり、携帯を取り出したり、このリュックをブラインドで使いこなすことがずいぶん上手になりました。

ショルダー部分はネイビーに染めた皮を使っていておしゃれなのですが、リュック全体は特殊な素材を用いてあり、その手触りの良さ、癒やされるようなソフトでなめらかな感触。毎日何度も触りながら使用していると、開発者の思いが感じられるようです。

折しもこの夏は、ずっと観戦したいと思っていたブラインドサッカーのゲームをテレビやネットで目にすることができました。手に汗を握りながら、驚きと感動を味わい、私が愛用しているリュックを改めて見つめながら、これまで気づくことのできなかったいろいろな個性に出会えた夏に感謝しました。

●参考
ブラインドサッカーオフィシャルバッグ~開発記念インタビュー~
https://www.youtube.com/watch?v=De7jtKk7V_k&list=WL&index=24

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・舞踊学専攻教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール