自分らしく

駐輪場

駐輪場

今日の仕事に立ち向かう
サラリーマンが
緊張感みなぎらせて
きゅっとブレーキをかける

スポーツバックを斜めにかけた
高校生が
考え事しながら
ひらりと降りる

次々と入ってくる自転車に
おはよう おはよう と
シルバー人材センターの
お父さん達は
大きな声をかける

そして 優しいまなざしで
いってらっしゃい と
かつての自分たちを
駅へ送り出していく

私は8年前に思い切って転職をしたのですが、当時は職場の勝手もわからず、準備しなくてはならないこともたくさんあって、体重があっという間に3kgも落ちてしまいました。「転職は正解だったのかしら」と悩んでもいました。

そんな時期、通勤に使うようになった駐輪場の係の方たちが毎朝かけてくださる元気な声がどんなに気持ちを明るくしてくれたことでしょう。「今日は早いねー」「寒いから気をつけてねー」。自転車がうまく停められるように、さっと手を貸してくださることも度々ありました。

ところが、つい最近のこと、駐輪場に一枚の張り紙が貼られました。「利用者アンケートで、『挨拶がうるさい』『気安く声をかけないでほしい』と言うご意見をいただきました。不快な思いにならないように気をつけますが、挨拶はこの駐輪場の仕事のひとつと考えております…」というような内容でした。驚きました。今、安心・安全にここを利用できるのは、係の方々の挨拶のおかげだと思っています。万が一、駐輪場でなにか悪いことをしようと思っても、毎回声をかけられるこの環境ではきっと無理だ、と感じると思います。私は思わず匿名で、「皆さんへの感謝とこれからもぜひ声を掛け合える駐輪場であっていただきたい」という手紙を書きました。

ありがたいことに、今もその駐輪場は挨拶で満ちています。とても利用者の多いマンモス駐輪場ですので、利用者同士もすれ違うときなどに声を掛け合っていきたいと思っています。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・舞踊学専攻教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール