自分らしく
〈近畿圏枝毛線巡礼〉(19)JR西日本 紀勢本線(和歌山~和歌山市間)

本線なのに枝毛線
『紀勢本線』のうち、『新宮駅』と『和歌山市駅』の間はJR西日本が所管しています。大阪から南紀方面を目指す特急列車は阪和線から直通し、『和歌山駅』を経て白浜や串本を目指します。ここで注意していただきたいのは、紀勢本線と阪和線の接続駅が『和歌山市駅』ではなく『和歌山駅』になっている点です。では『和歌山市駅』はどこにあるのかというと、『和歌山駅』から分かれて3.3kmほど走ったところにあります。同じ紀勢本線でありながら、この末端部分は紀勢本線の他の部分とは別扱いの枝毛線になっています。
さっそく、この枝毛線に乗ってみましょう。電車は『和歌山駅』に乗り入れるローカル線の『和歌山線』と同じホームから発着します。電車も『和歌山線』で使われているのと同じ2両編成の短いものです。運転はほぼ1時間に1本の割合で、『和歌山駅』と『和歌山市駅』の間をゆっくりと走ります。
電車は『和歌山駅』を出発するとすぐに阪和線の下をくぐり、海側に出ます。やがて高架線に駆け登り、途中駅の『紀和駅』に停車します。駅の傍らには大きな団地が立ち並んでいます。さらに市街地のなかを進んで地上に降りると、やがて右手後方から南海電鉄本線の線路が近づいてきます。並んだ線路をしばらく走ったところが、終点の『和歌山市駅』です。この駅は南海電鉄本線の和歌山県側のターミナル駅で、JR西日本の電車は南海電鉄の大きな駅の片隅を間借りしているような雰囲気にも感じます。
この枝毛線のお客さんはほぼ沿線住民に限られ、和歌山の2大ターミナル駅を結ぶ生活路線であると同時に、もう一つ、南海電鉄の新車を運び入れるための路線という重要な役割も担っているそうです。
同じ社域のなかに二つの神社が鎮座
『和歌山駅』から『和歌山電鐵貴志川(きしかわ)線』に乗って2駅目の『日前宮(にちぜんぐう)駅』で降り、数分歩いたところに『日前神宮(ひのくまじんぐう)・国懸神宮(くにかかすじんぐう』があります(写真)。ここは同じ社域のなかに二つのお社が鎮座ましましている珍しい神社です。『伊勢神宮』の神宝である『八咫鏡(やたのかがみ)』の二つのプロトタイプといわれる『日像鏡(ひがたのかがみ)』と『日矛鏡(ひぼこのかがみ)』をそれぞれ祀ることから、このような形になったといわれています。
お土産は、和歌山駅ビルのWAKAYAMA MIOで売っていた『紀州梅酒ボンボン』です。チョコレート中に梅酒が入っていて、口に入れると梅酒の香りがいっぱいに広がりました。
サポーター

- フリーの編集/ライター。
主なフィールドはバレエ、鉄道、鉄道模型、70年代プログレッシヴ・ロック、古代史など。
近年は自費出版原稿のリライト、編集を主に手がける。好きな言葉は「棚からぼたもち」。
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