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〈近畿圏枝毛線巡礼〉(2)阪急電鉄 箕面線

阪急のルーツは完全な通勤路線に

阪急電鉄『宝塚線』の『石橋阪大前駅』から分岐する『箕面線』は、阪急電鉄の創業路線と位置づけられる路線のひとつです。1910(明治43)年3月10日、前身である『箕面有馬電気軌道』が梅田~宝塚間と同時に、その支線として開業させました。

開業当時は沿線に田んぼや畑しかなく採算性が危ぶまれたそうですが、当時専務をつとめていた天才的経営者の小林一三は沿線の宅地開発を進めると同時に宝塚や箕面の観光地化を推進し、あっという間に黒字化に成功、今日の阪急電鉄の基礎を築き上げました。

そんな箕面線ですから、現在の沿線は住宅で埋め尽くされ、4輛編成の電車が10分おきに行き来する完全な通勤路線となっています。以前は『大阪梅田駅』への直通電車も存在したそうですが、現在では完全に独立した枝毛線になっています。ただ休日ともなると、箕面へ向かう行楽客の姿が多く見られ、平日とはまた違った一面を見ることができます。

では、さっそく乗ってみましょう。石橋阪大前駅の箕面線のホームは宝塚線大阪梅田方面のホームとつながっていて、宝塚線の線路と直角方向に走り出します。駅を出るとすぐに複線となり、戸建て住宅が立ち並ぶなかを駆け抜けて行きます。途中駅の『桜井駅』『牧落駅』をすぎても車窓の風景は変らず、結局、箕面駅に着くまでそれは変りませんでした。

しかし箕面駅の改札を出るとがらりと雰囲気が変わり、山が眼前に迫ってきます。観光案内板なども設置されていて、レジャー気分が盛り上がります。取材当日は平日だったにもかかわらず、これからハイキングに行くらしい年配の方々のグループが見られました。

おかみさん自慢の逸品『本千鳥饅頭』

駅から左方向に歩き、箕面川を渡ってすぐのところに臨済宗妙心寺派『松雲峯 寒山寺』(写真)があります。あいにく門は閉まっていましたが、隙間から覗くと禅寺らしく手入れの行き届いたお庭が見えました。ネットによると、座禅会なども積極的に行われているようです。

お土産は、箕面駅前にある『菓匠 千鳥屋宗家』で買った『本千鳥饅頭』です。白餡をくるんだお饅頭は皮と餡のバランスが絶妙で、おかみさんが「ウチの自慢の商品です」とおっしゃるだけのことはあります。箕面へおいでの際は、ぜひご賞味を。

サポーター

老田道夫
老田道夫
フリーの編集/ライター。
主なフィールドはバレエ、鉄道、鉄道模型、70年代プログレッシヴ・ロック、古代史など。
近年は自費出版原稿のリライト、編集を主に手がける。好きな言葉は「棚からぼたもち」。

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