自分らしく
〈近畿圏枝毛線巡礼〉(5)阪急電鉄 甲陽線

関西屈指の高級住宅街を走る路線
関西を代表する高級住宅地7か所を称して『西宮七園』というそうですが、そのうちの『甲陽園』と『苦楽園』を通るのが、阪急電鉄『甲陽線』です。全長は2.2kmしかなく、途中駅も『苦楽園口』だけ。阪急電鉄の枝毛線にしては珍しく全線が単線です。
いまでこそ甲陽園も苦楽園も高級住宅地ですが、明治時代には苦楽園には温泉が、大正時代には甲陽園には遊園地や旅館がある行楽地だったことが知られています。当初阪急電鉄は甲陽線を建設する予定はなかったのですが、当時熾烈なライバル関係にあった『阪神電鉄』が『香櫨園駅』から甲陽園までトロリ―バスの運行を計画したため、急きょ建設することが決まり1924年に開業させた、といういきさつがあります。
戦後に行楽地としてはすたれ、かわりにいくつかの学校が誘致されました。通学の生徒たちが利用しだすとともに沿線も高級住宅地として開発され、甲陽線は住民の足として新たな役割を果たしはじめます。
では、『夙川駅』から甲陽線の小さな旅を始めましょう。神戸線と直角をなすホームから3輛編成の電車が発車します。沿線は高級住宅地だけあって緑が多く、大きな家がゆったりと建ち並んでいます。2分ほど走った中間駅の苦楽園口では、上り下りの電車の行き違いが行われます。さらに2分ほど走ると、終点の甲陽園です。こじんまりとした駅で、改札を出ると小さなロータリーがあり、なんとなく落ち着いた空気が流れているのがいいですね。
土地柄にふさわしい上品な洋菓子店
帰りには苦楽園口駅で途中下車、5分ほど歩くと臨済宗東福寺派のお寺『如意寺』(写真)があります。本堂は閉まっていましたが、本堂の前に石造りの大きな観音像、左手に同じく石造りの如来像が置かれています。
お寺から苦楽園駅へ戻る途中に、『patisserie le Atelier TAKE』というかわいい洋菓子店を見つけました。『マドレーヌ』と『クッキー』を買いました。マドレーヌはしっとり、クッキーはカリッと軽く、とても上品な味でした。
サポーター

- フリーの編集/ライター。
主なフィールドはバレエ、鉄道、鉄道模型、70年代プログレッシヴ・ロック、古代史など。
近年は自費出版原稿のリライト、編集を主に手がける。好きな言葉は「棚からぼたもち」。
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