自分らしく
〈近畿圏枝毛線巡礼〉(9)南海電鉄 高師浜(たかしのはま)線

住宅地として開発された地域の足
南海電鉄『高師浜線』は南海電鉄本線『羽衣(はごろも)駅』を起点に、1.4km先の『高師浜駅』までを走る枝毛線です。途中の『伽羅橋(きゃらばし)駅』に停車しても終点まで5分とかからない超ミニ路線です。現在は全線高架となっていますが、2021年5月から2024年4月まで羽衣駅付近の高架化工事中は電車を運休し、代行バスによる輸送が行われていました。
羽衣駅上りホームの後方へ歩くと、高師浜線の専用ホームが見えてきます。時刻表を見ますと、平日も土休日もだいたい20分おきに運転されており、こうした短距離の枝毛線としてはわりあい高密度に運転されていることがわかります。しばらく待つと、2両編成の電車がやってきました。シートが半分ほど埋まるぐらいのお客さんが乗ると出発です。お客さんはすべて沿線に住む方々らしく、観光客の姿はありません。
すぐに南海本線と別れ右に大きくカーブすると、もう伽羅橋駅です。数人のお客さんが降りると発車し、今度は左に大きくカーブします。右手には遠くに工場の建屋が見えますが海は見えません。左手に大きな神社が見えてくると終点の高師浜駅です。
沿線はまったくの住宅地で、商業施設や大きなマンションどころか、商店街さえもありません。見渡す限り、戸建て住宅が続いています。このあたりは明治時代、日露戦争の時に捕虜になったロシア兵を収容する施設があったところだそうです。大正の中ごろに住宅地として開発され、そのアクセス手段として1918年に当時の南海鉄道(現・南海電鉄の前身)が開業させたのが、この高師浜線です。
1300年以上の歴史をもつ神社に参拝
電車のなかから見えた『高石神社』(写真)に寄って参拝しましょう。白雉元年(西暦650年)創建で、『延喜式』にも記述がある、1300年余りの歴史をもつ古い神社だそうです。高師浜の地は、『万葉集』の時代から白砂青松の美しい海岸として和歌にも詠まれてきた景勝地で、古い記録によれば、当時の境内は海に面した松林のなかにあったそうです。現在は埋め立てで海からはかなり離れていますが、数本の松の木がその名残りをとどめています。
高師浜駅は住宅街のど真ん中にあり、周囲を見回してもお店らしきものは見当たりませんでした。残念ながら今回もお土産は、なしです。
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主なフィールドはバレエ、鉄道、鉄道模型、70年代プログレッシヴ・ロック、古代史など。
近年は自費出版原稿のリライト、編集を主に手がける。好きな言葉は「棚からぼたもち」。
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