乳がん生活:患者力:患者力アップのヒント

カミングアウトのタイミング

〈乳がん〉になったことを言うか否か

〈乳がん〉がわかったとき、まずは家族と入院などで迷惑をかける職場の上司部下、そして人事部には伝えました。上司が女性だったので、検査の段階からでも言いやすかったのもあります。

女性の友人には早い段階で啓蒙も兼ねてお話しましたが、これを伝えるかどうかは人それぞれで悩ましいところと思います。親しい友人に話したところ、その友人のまた友人が〈乳がん〉の経験者で、「話を聞いてみたら?」とつないでくれました。それによって密かなネットワークが築かれ、情報収集できて助かったことも多かったです。その経験から、私も個別でつながってきた相談にはのることにしています。

胸ならではの難しさ

〈乳がん〉の先輩である母からは、「人には言わない方がいい」と言われていました。「お腹を切った」と言ってもお腹をじろじろ見る人はいないと思いますが、胸という部位であるが故に、「うまく隠しているな」などとついついそちら側を見てしまうのが人間でしょうね。

そういうこともあって、男性の友人にはなかなか言えなかったですし、言い出すタイミングも難しかったです。術後8年経って、「ようやく仮卒」ということをSNSで発信できたぐらいです。

言われた方もどうリアクションしたらいいのか

今はいろいろと情報があり、カミングアウトする有名人も多いため、まわりもある程度リアクションの仕方を理解しているという状況でしょう。

部分切除を経て全摘した直後に会った女性の先輩に、経緯をお話しました。しばらく沈黙の後、「よかったじゃん、全部取って。すっきりしてよかったよ」と至極まっとうに言ってくれたのですが、そのときの私はまだ全摘したことが悔しく、「そんなふうに簡単なものじゃなかったのに、すっきりなんてしてない」と言い返し、とても悲しかったのを覚えています。

「じゃあ、何と言ってほしかったのか?」と自分でも振り返ってみると、たとえば「大変な決断だったね」とか、「頑張ったね」などの言葉がほしかったのかとも思います。それに、私はもう少し自分のなかで落ち着いてから言えばよかったのかもと思い返します。

突然重いことを言われた方もどうリアクションしたらいいのか混乱するとは思いますが、こちら側としては大変だった決断や不安感に寄り添ってほしいのかもしれないと思います。個人差はあると思いますが、周りにそんな人がいたらちょっと考えていただきたいと思います。

サポーター

Chicca
Chicca
マーケティングコンサル会社代表。
福岡県出身。高校時代に海外留学。大学卒業後、証券会社の海外勤務、内外化粧品会社マネジメント、事業開発、マーケティング、ラグジュアリーブランド、海外化粧品ブランド日本代表などを経て、現在に至る。
44歳のときに左乳がん発症。部分摘出、全摘手術の2度にわたる手術を経て、2年後に自家組織による再建に着手。2019年卒業。
趣味は、旅行、温泉、茶道、書道、着物、アルゼンチンタンゴ。

プロフィール