自分らしく
小説に登場する音楽
小説から知る音楽
好んで小説を読むのですが、特に音楽が登場する物語に引き込まれます。
村上春樹は音楽の造詣が深い小説家です。不可思議な物語が展開する『騎士団長殺し』は、モーツァルトやベートーベン、シューベルトといったクラシックから、ジャズのセロニアス・モンク、ロックのブルース・スプリングスティーンなど、多様な音楽が目まぐるしく登場します。村上春樹の小説は、良質な音楽を知ることのできる指南書でもあります。
佐藤正午の小説では、意味深に音楽が使われます。直木賞受賞作の『月の満ち欠け』では、昭和歌謡の黛ジュンの「夕月」や、60年代フォーク・ロックのサイモンとガーファンクルの「アイアム・ア・ロック」が登場します。物語は「輪廻」をテーマにしたミステリアスな筋立てですが、意表をつく選曲が重要な役割を担います。
名探偵は音楽が好き
シャーロック・ホームズはバイオリン演奏の名手だそうです。推理小説の名探偵が音楽を好むのは、事件解決に役立つからでしょうか。
イギリスの作家コリン・デクスターの代表作の主人公、警部モースはクラシック音楽好きでワーグナーを愛聴しています。シリーズ第1作の『ウッドストック行き最終バス』では、クロスワード・パズルを解きながら、ワーグナーの楽劇「ラインの黄金」を鑑賞する場面が描かれます。ワーグナーを聴いて事件の謎解きをするのが、警部モースの流儀なのです。
小説に登場する音楽は文章のなかとはいえ、今にも演奏が聴こえてくるようです。
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