自分らしく

5月の玄関

5月の玄関

くつからサンダルに履きかえた
風が足の甲をさわって流れていく

いらないものを
荷物から抜いた時みたいな
身軽な一日の始まり

以前は6月初めが衣替えシーズンだったと思いますが、最近は温暖化のせいか、あるいは、より個人の選択を学校が大事にしてくれるようになったのか、5月連休明け頃から冬服に混じって夏服の高校生たちを見かけるようになりました。黒や紺色がどっと流れてきた改札口は、まぶしいワイシャツや白ブラウスが増えて駅の空気はグンと明るくなりました。私も昔、夏の制服に替えたばかりの一週間くらいは、その軽さになんとなく落ち着かなかったことを思い出します。

足をしっかり包んでくれていたくつからサンダルになってみると、ちょっと心許ない感じですが、玄関を開けると5月の空はキラキラと輝いていて、誰も見ていないのを確かめて思わずスキップしたくなります。この際、通勤リュックも点検。いらないものはないかしら。もっと小さめのリュックにしてみようかしら。

そういえば以前の職場には、たくさんの書類と文具類それにノートパソコンまで、毎日一式を革のカバンに入れて持ち歩いている同僚がいました。たとえ重くても、どんなことにも対応できるという安心感が心を穏やかにするのだそうです。

私の方は全く逆で、ペン1本でも数枚の書類でも、多ければ取り出して軽くするから心が弾むのでした。いつも「持っていても職場や家で結局使わないものが多くないですか?」「何でそんな少なくして平気なのか不思議だなあ」とお互いを笑い合っていました。平和な職場だったと思います。

サポーター

みやもと おとめ
みやもと おとめ
詩人。
本業は体育大学・舞踊学専攻教員。大学生たちがダンスを好きになり、さらに自信をもって子どもたちにダンスを教えられる指導者として育つことを願い、教育と研究に取り組む。

プロフィール