自分らしく
ブルースとブルーズ
ブルースは大人の世界
昭和世代の音楽体験といえば、テレビの歌謡番組が忘れられません。知らぬ間におぼえた曲は、何十年たっても歌詞とメロディが思いうかびます。
なかでもブルースが題名の歌は、強く印象に残っています。『伊勢崎町ブルース』(青江ミナ)に『女のブルース』(藤圭子)や『柳ヶ瀬ブルース』(美川憲一)などいずれも昭和40年代に流行りましたが、テレビを観ながら大人の世界をのぞくような緊張感を感じたものです。
それから後年、好んで洋楽を聴くようになり、ジャズやロックに頻繁に登場するブルースを知りました。どちらもブルースといいながら、違いは明らかなのが不思議でした。
ブルーズは黒人音楽のルーツ
そもそもブルース(正しくはブルーズですが)は、米国の黒人音楽のルーツです。200年前の奴隷時代に強いられた労働や苦悩を歌ったのが原点といわれています。
一方、日本の大衆音楽は洋楽のエッセンスを取り入れて発展しました。ジャズやシャンソンにタンゴやルンバなどが、戦後の流行歌を彩ったのです。そんな背景でブルースも歌謡曲になったのかもしれません。
本場ブルースの古典といえる名曲のひとつに、100年以上前に生まれた『セントルイス・ブルース』があります。1930年代にブルースの女王とよばれた女性歌手ベッシー・スミスや、ジャズの偉人ルイ・アームストロングなど数多くの歌手や演奏家がレパートリーにしてきました。
歌詞のストーリーは、セントルイスの女性に失恋して街を出ようとする主人公が歌われます。波止場と男女の別れというドラマは、日本のブルースのお手本かもしれません。
成り立ちは違っても、ブルースもブルーズも時を経て深まる味わいが魅力です。
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